自分の不幸は蜜の味

ひなみ おおがい

自分の不幸は蜜の味

「あなたが幸せになることが私の幸せなの。」


僕の母はよく僕にそう言った。そんな自分が僕の幸せを奪っていることも気づかずに…


「ちゃんと勉強しなさい。」

「宿題はちゃんとやったの?」

「ちゃんと授業真面目に受けてる?」

「いい大学にいっていい会社に勤められるように頑張りなさい。」


こんな言葉をかけられる日々に嫌気がさした僕はある日包丁片手に母親に怒鳴り散らした。


「いつもいつもうるさいんだよ!僕はお前のおもちゃじゃないんだよ!」


母が何か言おうとするのを遮るように僕は母の腕を切りつけた。


「私は全部あなたが幸せになることを願って言ってきたのよ。私はあなたが将来不幸になってるとこなんて見たくないの。」


最後に僕の不幸が母の不幸であることが分かってよかった。これで自信を持って言える。



「僕の幸せは僕(あなた)の不幸だよ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自分の不幸は蜜の味 ひなみ おおがい @Hinami-Oogai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る