あの頃の黒歴史

gabatomato

消したい記憶

皆さんには消したいわるい記憶はあるだろうか?世間ではそれを黒歴史と呼びちょっとした雑談や笑い話に変える人もいる。


しかし誰にでも人には言えないような大きな秘密は一つぐらい心に眠っているかもしれない…


主人公蓮も例外ではなく…


俺には高校生になった今でさえ悔やむ小学生の頃の消したい過去がある。

俺が小学生の頃はとにかく地味で特徴がなく主体性がなかった。これをやれと言われて従うばかりで、自分から積極的に話しかけにいくわけではなかったし要領がとにかく悪いのに周りからは真面目と捉えられ少しクラスメイトとの距離を感じた。


そんな俺にも一人学校でよく話すやつがいて高倉智って言うんだけど誰にでも壁なく話しかけられるようなすげー奴で毎日二人で一緒に帰ってたんだ。帰り道学校には内緒でパピコを買って分け合った思い出は今でも忘れられないな。


俺の学校では四年生になったら

全員委員会に入らなきゃいけないんだけど

当時地味だったからハブられた。クラスメイトは俺の名前が載ってないことに気づかなくて、智が何か言ってくれて担任の先生は余っていた放送委員の枠になんとか入れてもらえた。


放送委員会は男女で一ペアだったから当然同じクラスの女子と組むことになるんだけど…

当時の俺よりもだいぶ地味な感じのロングヘアの女の子。隣の席に座るとその女の子は"よろしく"とだけ言うとすぐ本を読み始めてた。


自己紹介になって僕らのクラス4年3組の番がきて、俺は一つ前の人が言ってた言葉をあわててそのまま言う…その後同じクラスの地味なロングヘアーの女子が続いて名前を口にする。名前は坂本唯というらしい。


一発目の委員会はだいたい委員長やらなにやら役割決めくらいしかないから活動内容が終わるとすぐに解散って感じで

最初の委員会が終わって席を立とうとした


その時

"高倉といて大丈夫?"坂本はその言葉だけを吐いて颯爽と帰って行った。

どうして智をけなしているのかわからなかったし智を悪く言うなんて俺は当時イライラしていた。


智は代表委員会に入ってたのでその日は別々に帰った。


翌日智といつもどおり挨拶を交わして

授業を受けた。智は頭の回転が早く教科書に載ってるような算数の問題はすぐに解いた。授業中はちょっと智が退屈そうだったのを覚えている。でも俺がわからない問題は俺でもわかるような具体例を使ってわかるまで説明してくれた。


そんなかんやで夏休みが近づいてきたある日、学校中に密かにある噂が流れてきた。


それは

智が俺を好きなんじゃないか。というものだった。


その噂は徐々に広まっていき次第にはクラス奴も俺に話しかけて偏見のような言葉を掛けられた。


僕は別に智を恋愛対象として見てなかったから智の気持ちなんて深く考えず

「好きじゃない」とはっきり智の前で言ってしまったんだ…。


それから智とはもう話すことはなかった。

その後5,6年は別のクラス

中学はそれぞれ別の学校に行った。


そして今通っている私立第三高校。俺はあの頃に比べて人と話すようになって友だちも多くなった。


入学した翌日だいぶ朝のHRの時間より

早くクラスに着くと窓際に影を潜める智の姿があった…




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