×××××××××××××……
私と関わり続けるとあの子はいつか不幸になってしまう。
それがどんな形かは分からないけれど、あの子には幸せになってほしい。
大好きだから、離れないといけない。
ひとりぼっちにならなければならない。
私のせいであの子が少しでも苦しまないために、今はどこかで終わりが必要だった。
本を読んでいて思った。
“離れていても相手を思いながら生きる”
これもひとつの幸せなのかもしれないと。
だから、私は実行した。
しかし、違った。過去の私も同じ過ちを犯したのかもしれない。
あの子に会えない世界は、幸せ半歩手前の地獄だった。
まただめだった。失敗してしまった。
ただ、時間はいくらでもある。
命もいくらでもある。
でも、それだけではどうにもならない。
――いつも救えなくて、ごめんなさい。
神様、私は今まであの子との約束をいくつ破ってしまったでしょうか。いくつ嘘を吐いてしまったでしょうか。どれだけ罪に穢れてしまったでしょうか。
せめてこの夏の自分が、あの子と結んだ約束だけは果たします。絶対に。
今の私には、未練だらけの行為が最大限の幸福で、限りない命が果てるまで、幻想を反復する。
いつか訪れる本当の終わり、真の幸福を目指して、夢みたいな日々を描き続ける。
もうすぐ私は、再び〈高校二年生の私〉を繰り返す。
これまでの途方もない日々が、夢か幻であったと、心から二人で笑い合える日が来ることを願って……さようなら。
夢幻 あ @grimm__
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます