××××××××××××……
何もかもが同じ世界の中で、あの子だけが私の唯一の救いであり、変化であり、そんな一日一日が楽しみで仕方なかった。
こんな太陽のように明るい日々が、少しでも長く続きますように。
残酷な神様に、毎日願っていた。
私は人と過ごすことを避けている。
今までの転生の中でクラスメイトの中にも、友達になった人はいたけれど、関係ない人を不幸にするのは、心が痛む。
私の目的は、あの子と幸せな日々を送ること。
だから、私から距離をとって、一人のときは本を読むことにした。
本は人と違って、燃やしたり、破ったりしない限り、簡単に消えることがない。
それに、想像の世界に触れていると、私は呪いを一時的に忘れることができた。
相手を不幸にしてしまうから、自分のことはあまり話さないようにしていた。
そのせいで、あの子に何も伝えられなかった。
本当はもっと知ってほしかったのに。
勉強ができるのは、完璧を装えるのは、何度も繰り返しやっているから。
でも、私には人並みの記憶力しかなくて、度々過去の“私”の話をあの子にすることがあった。
そのたびにあの子は不思議そうな顔をして、私は呪われた自分が嫌になった。
シェイクスピアの戯曲のようだけれど、私にとってのすべてはあの子だけで、名前なんて必要ないと思っていた。名前なんて区別するための記号や音でしかないのだから。
一学期の最後の日、あの子に会いたいと言われた。過去にも何度か言われた言葉だったけれど、はじめてのように嬉しかった。
そんな甘美な言葉に私は嘘を吐いて、八月一日をあの子との最後の日に決めた。
神様、あと一度だけ、二人だけの時間を許してください。
あの子に会うにあたって、私は一冊の本を用意した。
私たちの宿命の物語。
その最後のページに、あの子への言葉を書くことにした。
何を書こうか迷った。
ずっと親友だよ?
大好き?
違う。私が書くべきなのは――
長い時間の中で、こんなにも上手く文字が書けないのは、初めてだった。
八月一日、私はあの子と最後の日を過ごした。
とても楽しかった。とても名残惜しかった。
何度もやった宿題を夏休みの初日に終わらせて、あの子が宿題をしている間は本を読むふりをして、あの子のことばかり見つめてしまうくらいに。
本は、帰り道に渡すことにした。
あの子はとても優しいから、本を読むのが好きではないのに、受け取ってくれた。
擦り減っていく夏。翳りゆく生命。
やがて、太陽は沈んでしまう――。
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