‪×××××××××××……

私には二つの呪いがある。

ひとつは、死んでもまた〈高校二年生の私〉として生まれ変わる呪い。

もうひとつは、私の傍にいる人は必ず不幸になってしまう呪い。


神のような偉い存在がいて、私と世界を玩具にして遊んでいるのではないか、と考えることがある。

しかし、今の私は世界の真実を理解できない。


人間誰しも、人と違うところがある。

だから私も他人から見れば普通の人間で、周りにいる人とほとんど変わらないのかもしれない。


中には、私を天使だと言う人もいるけれど、天使は特別で、純粋で、綺麗だなんて誰が決めたのか。

天使も所詮、人間の魂を持った悪魔だというのに。



私は何度も死ぬけれど、死は決して終わりではない。

私はまた〈高校二年生の私〉をやり直した。



いつもの部屋のベッドで目を覚ます。

両親はもともと忙しい人だったから、私は屋敷のような家でずっと一人で過ごしていた。おかげで家族を不幸にせずに済んでいる。



今日は始業式の日。

また何度も繰り返した学校生活が始まる。

今まであの子と、いろいろな出会い方をして、散々な別れ方をした。

こんなに酷く狂おしく、愛おしい世界で、私は今度こそあの子が傍にいる未来を選択して――この世界は幸せで満たされることを証明してみせる。



私は教室の扉を開ける。

何度も見た、見慣れた光景。

不自然に思われないように、黒板の紙に目を通す。

そして、既に決められたあの子の席の前まで辿り着く。なんだか不思議なほどに目が合った気がした。


「よろしくね。」


今回は私から挨拶をした。


「よ、よろしく!」


今の私とは初対面のあの子は、驚いたように挨拶を返した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る