第6話

 「え、どういうこと……? 死のうとしてたなんて」


 マキに尋ねると、マキは口を開いた。


 「感情が動かなくなっちゃったんだ。楽しい、とか嬉しい、とかを感じなくなったの。私のセンサーは麻痺したみたい。理由は分からないけど、毎日が苦しくて、じゃあもう何も見ないようにしよう、って決めたら、良いことまでも見失ってしまった」


 私は気が付いたら泣いてしまっていた。

 するとマキは腕を広げて、「いい?」と尋ねた。

 私はこくんと頷いた。

 その瞬間、ふわっとシャンプーの香りがした。

 私達はベンチでぎゅっと抱き合いながら、私は泣きながら、話し続けた。

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