第5話

 この日から私たちは毎日放課後に会うようになった。


 連絡先は知らない。

 待ち合わせもしていない。

 

 私達は何かに引き寄せられるように、同じ時間に公園のベンチで会い、夜になるまで話すのだ。

 

 「私は寂しいとき、遠回りしたくなるの 」

と彼女は言った。


 彼女に関することが少しずつ分かってきた。


 彼女は隣町に住む同い年の中学三年生の女の子であるということ。


 陸上部に入っているということ。


 犬を飼っているということ。


 文房具コーナーで私から返事が来た日、本当は死のうとしていたということ。

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