第14話 終章
「コジロウ殿、前から聞いて見たいと思っていた事があります。そなたの国の美男の殿方が我が国の醜女を嫁にするのが不思議で理解できませんが?」
「はい、アリエ様、それは価値観の相違からです」
「価値観の相違とは?」
「つまり、この国では醜女のシシイノ族の姉妹は我が国では特別な美人で貴重な存在です」
「コジロウ殿は私達には醜男に見えるが、自国に帰れば美男と言うことですか?」
「自分で言うのも抵抗がありますが、そうです」
「では、そなたの国で写真に写っていた美男は醜男と言うことですね?」
「はい、そうです」
「話がコンガラカッテ来ましたが、何故我が国の醜女をその写真の美男殿方に嫁がせるのですか?」
「それは両方の望が成立するからです」
「望とは?」
「つまり、写真の殿方は我が国では醜男でシシイノ族の姉妹のような美女との結婚は生涯出来ません。シシイノ族の姉妹はこの国では醜女で、写真の殿方を美男と思っております。それでお互いの望が叶うからです」
「何故、価値観が違ったのでしょうね?」
「それは希少価値だと思います。メシコデ王国とシイド王国はシシイノ族の姉妹のような美人、いや醜女が多く、アリエ姫のような美人は少ない、私の国も醜女が多く、美人が少ないので美人が持て囃される」
「コジロウ殿、今の話を聞くとそなたの国では私は醜女になるのですね?」
「アリエ様、美人とか醜女は人が決めたことで真理ではありません。アリエ姫の悪に対する純粋な心こそ美人だと思います。これはメシコデ王国でもヤーパン国でも同じ美しい心です」
「コジロウ殿、お世辞がお上手なこと」
コジロウは無事に娘達をヤーパン国に連れ帰り、娘達は醜男殿に大切にされ幸せにくらしました。
シイド国王はアリエ姫の恐ろしさが身に染み二度々攻めて来なかった。
一年後、アリエ様とクライス卿の結婚式が宮殿で盛大に行われました。
翌年アリエ様そっくりな姫が生まれた。
何年か経ち庭で幼い姫に振り回されているハモンドがいて、又美しい姫に仕えられると青空を見上げていた。
「アリエ姫騒動記」この国に私より美しい姫がいるなんて? 北宮 高 @kamiidehedeo
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