第13話 狩りと怒り
次の日の朝、アリエ姫は村外れの高原に連れて行かれた。
広い草原で膝までの草が生えていた。
中央部に木が数本生えた林があり、その中に拘束された醜女達とコジロウ殿、そしてシシイノ族の醜女姉妹がいた。
五十メートルも離れた処に弓を持った五十人の兵隊、その後ろに騎馬隊二十騎が準備していた。
アリエ姫の右側にシイド国王が騎馬に乗りその後に大勢の兵士が並んでいた。
「どうだ、アリエ姫、最初に矢で射る、そして生き残った者を騎馬隊が剣で殺す」
「今直ぐ止めなさい! 人間がする事ではありません」
「うるさい! 放て!」の声で五十本の矢は林に落ちた。
「キャー」との悲鳴で醜女三人が数本の矢を受け倒れた。
「止めなさい!」とアリエ姫は叫び怒りが頂点に達した。
アリエ姫の黒ゴマの瞳が大きくなった。そして、顔が倍程に大きくなった。
「あー あー アリエ様我慢して下さい」ハモンドはオロオロして止めたが
無駄だった。
「ブッヒンニャン、ブッヒンニャン」二回ほど唱え口を大きくあけ
空気を吸い込んだ。
地の底から響く「ドオーン」の音と共に口から衝撃波が出た。
弓の兵士と騎馬隊は十メートル程飛ばされ気を失った。
次に顔を恐怖に慄くシイド国王に向けた。
「ドオーン」と音と共に国王と兵士は飛ばされた。
剣や鎧などの金属が衝撃波により粉々に砕けた。
シイド国王は飛ばされ鎧もなく仰向けになり気を失った。
暫くして気が付いて、現状を把握して恐怖心で兵を引き連れ帰っていった。
アリエ姫の顔も徐々に元に戻った。
倍の顔になったアリエ姫を見られた事は史上最高の美女を見たと同じでハモンドはもう死んでもいいと思った。
「アリエ様、見事でしたが、もう止めてください」
「そう、出来れば使いたく無かったわ。それに矢で刺された醜女三人は
大丈夫ですか?」
「急所が外れていて命は大丈夫です」村長も史上最高の美女を見たことで
嬉しそうに答えた。
「アリエ様、命を助けて頂き有難うございます」とコジロウ殿も怖々と礼を言った。
「コジロウ殿、娘三人が怪我をしてしまって、人は足りるのですか?」
「シシイノ族の姉妹が行きたいと希望したので大丈夫です」
「でも、まだ二人足りないですね?」
「姉妹は我が国では二人分の価値がありますから」を嬉しそうに話していた。
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