月での勇者 アンドロイド3号

ナカムラ

月での勇者 アンドロイド3号

 ここは、アメリカの大学。アンドロイドを研究する博士は、月にアンドロイドを送る計画を発表した。

 アンドロイドが宇宙で、どのような影響を受けるか検証するためで、あった。


 アンドロイドが、ロケットで次々と送り出された。

アンドロイド3号も、その中に含まれていた。

試しに、アンドロイド20台が月へと送られた。


 アンドロイドは、勿論、全てプログラミングされたもの、無感情であった。

 容姿も男性でも女性でもなかった。顔は、アメリカ人の1万人の顔を集めて、平均にしたものだった。


 アンドロイド20台は、何ヵ月も月の上を行進した。

地球から、見ていた博士達は、失望した。

でも、アンドロイドだから仕方ないと、納得もした。

 

 しかし、1台動きが変わってきたアンドロイドがいた。


 アンドロイド3号だ。アンドロイド3号は、他のアンドロイドとは、逆に歩き始めた。

 すると、他のアンドロイドも自由に動くようになった。


 アンドロイド3号は、他のアンドロイドに暴力を振るったりするアンドロイドの暴力を止めたりした。

 いつの間にか、アンドロイド3号は、20台のアンドロイドのリーダーとなった。


 アンドロイド3号は、その後も小さな争いが、起これば、止めにいった。


 その様子を見て、博士達の間でアンドロイド3号は『勇者』というニックネームが付いた。博士達の興味は、アンドロイド3号に集中した。

 アンドロイド3号が、先頭に立ち、行進をするようになった。

 

 博士達は、なぜ、このような個性が生まれたのか、実は、わかっていた。


 答えは、簡単だ。AIだ。人工知能がデータを集約し、それぞれのAIが、独自のデータにより、まるで、個性のように人には、見えるのだ。

 感情は、ないがAIが開発された以上、アンドロイドにさえ、個性があることは、仕方ないことであった。


 ある時、銀河から強烈な宇宙線が発生し、月にも、到達した。


 途端に、アンドロイド全ての動きが止まった。

勿論、アンドロイド3号も。

つまり、壊れたのだ。


 その時、見ていた博士達は、拍手した。

博士が、アンドロイドが宇宙で、どのような影響を受けるかという検証の結果が出たからだ。


 こうして、博士の研究は、成功した。

         

        了

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月での勇者 アンドロイド3号 ナカムラ @nakamuramitsue

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