俺のこと知られそうになった
話は戻り俺は夏輝と共に荷物を持ち今日何回目か分からないがまたまたエレベータに乗り一階に降りる。エレベータが閉まるのと同時に夏輝から口を出す。
「明日火君?」
「なんだよ。もう詮索しないっていったろ」
「そうじゃなくて君の過去も聞きたいかなって・・・・・・・」
夏輝の何気ないセリフに俺は一瞬思考が止まる。
「・・・・・・・・別にいいだろ俺のことなんて。それに生徒会長様のアンタなら俺のことなんて耳にしたことあるだろ」
きゃきゃきゃ
俺はそうつぶやいた後階は10階に止まり元気そうな子供が三人ほどエレベータに駆け込んできた。
まぁ日曜日だから今の時代元気で外で遊ぶのはいいことだ。
エレベータ内は一気ににぎやかになったがそれでも会話は続く。
「うん、大まかなことは知らないけど聞いた限りのことはね。けど君の口から直接聞きたいんだ。過去になにがあったのかと」
「死んでも教えねぇ。一緒に住んでるからって馴れ馴れしくすんな」
「明日火君・・・・でも」
「うぜぇんだよお前も上にいる弥生って女も・・・・・・・なんでもかんでも人の領域に平気に足を踏み入れやがって何様のつもりだ・・・・」
苛立ちながら夏輝を睨む。その同情の目をして救おうとするな。
嫌なんだよこれ以上人と関わるのは・・・・・・
ひそひそ
ん?
「なぁあの二人なにがあったんだ?」
「さぁ?関わるなとか一緒に住んでるとか生々しい話してるぜ」
「それに弥生って人も気になりますねぇ。これが噂の三角関係ですか」
「おまけになにか重たい荷物持ってるし‥‥弥生っていう元カノに浮気がバレたから二人でどこか逃げてるだろうぜ」
このクソガキ勝手こと吹きやがって・・・・・
一階です
「うわっこっちに睨んでる」
「逃げますよ」
「きゃぁ」
つい睨んでしまいガキ共はビクンと跳ね、
一階についた時三人は俺から一目散に逃げようとしていたのだが、
その時一階でエレベータを待ってる買い物帰りの妊婦らしい女性に接触してしまい
買い物袋が飛び中身が飛び散っていた。
「危ない!!!」
「ちっ!!!」
夏輝の声と共に俺は持ってた荷物を思いっきり床に叩き落とし素早く妊婦の方に向け支える。
妊婦は大丈夫と平気な顔でゆっくりと手を挙げた。どうやら当たったのは膨らんだお腹ではなく買い物袋だったようだ。
それを見たガキ共はオドオドとした表情でこっちを見ていた。
しかしそれだけではすまなかった。
『♪♪♪♪♪』
なんと散乱した買い物袋に入ってた玉ねぎが勢いよく転がっていきその先に歩きスマホをしている太ったオタ系の入居者が玉ねぎを踏もうとする。
「ちょっと!!!!!前見て!!!」
「ふんふん♪♪♪♪♪やっと160連で推しのアスナちゃんが引けたでござる。後40連で天井を目指してさらに強化♪強化♪それにしてもさっきからうるさいなぁ」
ダメだ。いくら叫んでも画面に夢中すぎてこっちに反応しない。
というか聞こえてるはずだろうが、自分のこととは思ってないようだ。
ヤバい後数歩で踏む・・・・・・
くそ~~~~~~~~~~
迷いなく地面を思いっきり踏み飛び出した。それは目の前のオタ系にぶつかるのを覚悟でノンストップ突進する。
「♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪」
あんだけ接近されてるのにも関わらず男は未だにスマホゲームに夢中だ。現状に気が付き驚き片足を上げる。だがその踏もうとする先には玉ねぎが・・・・・
ダッシュの後ジャンプし頭から突っ込み横に接近し、さらに指先で玉ねぎをはじき宙に飛ぶ。
その姿はまるで自らが無重力を生み出したような感覚。それが一瞬にして終わり、玉ねぎは予想通りの落下を見せた後俺の手のひらに収まる。
「あえ?なんだかやかましいでござる・・・・・・・・ってお主こんなところで胡坐をかいて何をやってるでござるかぁ。こんなところで座ったら危ないでござるよ。まったく最近の若い者は何考えてるでござろうか」
「ちょっと待ってよおじさん!!!!」
「な・・・・・・・・なんでござるかお主は!!!それに拙者はにじゅう・・・・・」
「そんなことどうでもいいよ。おじさんさっき歩きスマホしてたでしょ!?
あともうちょっとでその転がってる玉ねぎで転ぶところだったんだよ」
「それなら、声をかければ・・・・」
「声をかけても気づかなかったでしょうが!!!!」
すげぇ・・・・・・・俺が思ってることをズバッと言ってくるなんて、ものすごい行動力だ。
「そうだぜおっさん。ぜんぽーふちゅーーい?ってのはまさにこのことだぜ」
「そうです。あのお兄さんのおかげでなんとか事故になりませんでしたが・・・・それにしても、あの身のこなしと瞬発力・・・・・・・・・・お兄さんただものじゃありませんね」
「確かにスゲーよな。まるでヒーローみたいだったぜ兄ちゃん。なんかスポーツやってたのか?」
・・・・・・・・・・・
うぜぇ。引きこもりが調子に乗った行動してたのに目を輝かせているんだこいつらは。
さっきのは偶然が生んだただの奇跡だ。
「コラ!!!!君たちが妊婦さんに当たらなければこういう事にはならなかったんだよ」
ポカ!!!ポカ!!!ポカ!!!
まるでリズムゲームの感覚で夏輝はクソガキ三人衆の頭を叩いた。
昔の時代なら当たり前だがモンペ蔓延る現代社会じゃ普通に問題行動だ。
「痛ってぇななにすんだよねーちゃん」
「我々に非があるとはいえ解せませんねぇ。今から母上に報告していただきます」
「そうだそうだ」
「・・・・・・・・・・いいよ勝手にしたら」
ガキ共のブーイングの前に夏輝は静かに頷き、腰をかがませ子供たちの目を見つめ暖かい言葉を漏らす。
一人一人の頭を優しく撫でながら・・・・・・
「ねぇ・・・・・・・・君たちに弟や妹はいる」
「・・・・・・・・いるけどまだ小さいけどおとうとがいるぜ」
「僕はまだ分かりませんが、おなかの中に赤ちゃ・・・・・・・・あ、」
「眼鏡の君はなにか察してるようだね。そう・・・・・・・君たちのやってることはそういう事なんだよ。君のお母さんたちが同じことをされたことを想像してみて?
下手したらお腹にいる子はこの世に産まれないかもしれないんだよ。そんなの嫌だよね・・・・・・・・・・・メガネのボク?」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい』
ガキ共は夏輝の言葉を受け止めそろいながら妊婦に深く頭を下げていた。
特にメガネに方は泣くのを我慢しながら涙を流しており、妊婦の方は泣いてるガキに対しほほえみながらハンカチで涙をぬぐったようだ。
これにて一見落着っといっていいのか。
「アレ?拙者には謝らないでござるか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その後俺達はトラックに向かい荷物を置いた。
トラック前で缶コーヒー片手にBBAが荷物を持ってくるの遅いと言わんばかりになぜか俺だけに冷たい眼差しを向けていたが、俺は目を背け再び荷物を運ぶべくマンションに向かう中俺は夏輝に話しかける。
「さすが生徒会長様だな」
「ん~~~~~~~~~なにが?」
「ああやってガキ共をあやすなんてお手の物だな。さすがコミュ力マックスで人望が厚い。俺のようなコミュ障ボッチとえらい違いだ」
「なんで君はいつもいつも捻くれて嫌味口調かな。そんなんだからお母さんと仲良くなれないんだよ」
ほっとけ!!!と舌打ちし俺は夏輝より三歩先に早歩きしできるけ夏輝と距離をとった。
あ~~~~~~~~~話しかけるんじゃなかった。これから無視を貫こう。
「でも君も優しいところあるんだね。とっさにあのオタクの人が玉ねぎを踏む前に飛び込んでくるなんて・・・・・・まぁあの場合オタクの人はスマホゲームに集中してたからしょうがないけど・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・(無視無視)」
「あの変態的な反応速度と運動神経・・・・・・噂通りだね。もうアレはやらないつもりかな。ここで廃れるのは勿体ない。きみな・・・・・・・」
「やめろ!!!!!!」
夏輝の声をかき消すくらい俺は怒鳴り、さきほどまでからかってた夏輝はビクッと驚き戸惑っていた。
何時ごろぶりだろう腹から声が出るの・・・・・
「なにも知らねぇ癖に保護者ヅラすんな。さっきので母性が湧いたせいかママになってんじゃねぇぞ。クソお節介女。二度と俺の過去に触れるな」
「明日火くん・・・・・・・・・・・」
苛立ち髪をクシャクシャになるくらい腹立ってきた。
なんでどいつもこいつも俺の事分かってくれないんだよ。
かつてない程の気だるさが一気に俺に降りかかってきた。
本当に久々だ。こんなに身体を動かすなんて・・・・・
ここまでの体力仕事は出来ればこれっきりにしてほしいものだ。
突然押しかけてきたボクっ娘超絶美少女が俺を青春モルモットにしようとする件 夕凪 @dgjkk
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