夏輝のことを知ってしまった

「はぁ・・・・・・・・・疲れた~~~~~~~」

「コラやっとボクの荷物を全部終わったくらいでくつろがない。まだ半分も終わってないよ」

夏輝に叱責されつつも俺は眠たそうに欠伸する。現在俺は夏輝の部屋にて荷物を運び終え横になってる。



はぁ・・・・・・・・もうすぐ昼ごはんって時間帯なのにこっちはいつまでこんな作業をやらせるんだ。

そう夏輝のいう通りあれほど頑張ってたのに作業は大方4割くらいだろう。

やっと夏輝の荷物を持っていただけ。あとは本家である爺ちゃんの家に持ってく荷物を荷台に乗せ、BBAがその荷物を運んでる間にこの夏輝の部屋を整理するだけ。




現状トラックはこのタワマンの駐車場を止めており、防犯の為いちいちトラックに着くたびにいちいちトラックの荷台を開けてるのだ。つまりトラックの鍵は一つしかないのでBBAが来る前に少しだけ休めるが、BBAは荷物持っての行ったり来たりが早いのであまり回復できないのだ。




「こっちは半年間引きこもりしてんだから体力ないんだよ」

「言い訳しない。体力ないっていうけど変なストレッチはよくしてるからあるよね?」

変なストレッチは余計だ。毎日のルーティンと言ってもらおうか





「あの・・・・・・・夏輝ちゃんもう少しで昼ごはんができますよ。それと明日火君のお母さんから伝言であと一周運ぶの終わったら昼休憩してもいいんですって」

その時エプロン姿の伊治がひょこっと飛び出していており、その瞬間リビングから美味そうな匂いが漂っていた。



「ちなみに今日の昼ごはんは焼きそばですから頑張ってくださいね」

「ありがとう弥生ちゃん。ほらさっさと動く」

ガミガミいうのでダルそうな身体を無理やり起こし立ち上がった。

今日の昼飯は焼きそばか・・・

匂いだけで夏輝よりも美味しそうに感じるんだけど、これは楽しみにしていいのか?

ここまで期待しといて不味いってオチはないよな。

伊地があっちに戻る時俺はさりげなく睨んだ。




「おっと、」

伊地に気を取られてダンボールに足がひっかり夏輝の荷物が飛び出していた。

なんだこれは賞状?




「ちょっと明日火君さっさと・・・・・・・ってなにしてんの?ってボクの荷物がぁ!!!」

「す・・・・・・・すまん。わざとじゃないんだ。それよりもこれって賞状だよな」

「うん。せっかくの新居だからね。ついでに持ってきたんだよ」

新居って気安く言わないでくれる?あくまで居候の身だからな。俺は容認してないんだけど!!!



「つーかそんなもんわざわざ持ってくんなよ。自慢かよキモ」

「キモいってどういうこと。人の過去の栄冠をバカにするのはものすごく失礼だよ」

「所詮は過去だろ・・・・・・・えーーーーーとすならなつき?中学生柔道大会女子の部県大会優勝・・・・・・全国大会三位入賞って」





「さらだよ。砂羅さら夏輝。まぁ初見で読むのは難しいか」

「分かるかこんな苗字、珍しすぎるわ!!れてか苗字違うのって」

「そう?珍しいかなボクの旧姓。灰崎ってのは母方の性なんだけど」

俺はコッソリとスマホを取り出し検索する。




なになに、『格闘家 砂羅』っと

おっ出たな・・・・・・・・え~~~~~~~~~っと夏輝の父親の名前は砂羅健介・・・・・元フェザー級のチャンピオンって・・・・・・しかもいろいろタイトル格闘してて有名人じゃん。しかもテレビ出演もあるし。

よくよく見ればなんか見覚えがあるんだよな。





「って何見てんの?」

「おっと!!!」

「それボクのパパだよね?なんで今調べてんのかな」

「あ・・・・・・・いや以前お前の父親が格闘家って聞いたからホントかな~~~~~~って」

「む~~~~~~ボクのこと信じられないの?また投げようかな」

「分かった。分かった信じるから!!!これ以上詮索しない。だから構えるな」

スマホを閉じ手を挙げる。すると夏輝からの攻撃態勢は解いた。



後から聞いた話だが、夏輝の名字が変わったのは両親の円満離婚が理由のようだ。

なんでも夫婦共々やりたい夢があったようで、父である砂羅健介は趣味がラーメン巡りで数年前博多ラーメンにはまり格闘家を引退した今福岡で博多ラーメンの修行中で、母親は登山フリーの記者でとある理由がきっかけで登山にはまり娘を祖母に預け世界の山々を制覇しようとしてるようだ。いい年して自由すぎるだろう。 



こいつの行動力が異常なのは両親ゆずりか。




その行動力を俺以外の引きニーに分けてくれ。

俺は微塵も欲しくないからな。







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