第33話 米騒動と『紫式部一代記・パイロット版』の巻

 ※二本立て&お知らせ付きです。


***


 まさに今現在進行形のお話(更新とは、少しタイムラグあり)ですが、またまた起きた、台風騒ぎがきっかけなのか? 気がつけば生活圏内すべてのスーパーから、あっという間に、あらゆるお米は、洗いざらい姿を消しまい、内心かなり驚いていました。

 

 するとそこへ、ひとつの連絡がありました。


『ねえ、多い目にお米持ってるよね!? ちょっと分けて欲しい! 時間合わせて、車で取りに行くから! 完熟の美味しい桃1個、小玉スイカひと玉、バナナひと房で、なんとか、交換してくれないかな?』


 変に焦っているスタンプ付きで、連絡があったそれは、誰からきたのか……それは、わたしが、普段なにかと、重たい買い物は大変なので、米、味噌、その他重量物を、ネットのバーゲン、あるいは、ポイント10倍デーを狙って、まとめ買いし、いろいろ在庫しているのを知っている、あの、「元祖ヒーロー」でした。


 桃山の周囲も、どうやら、お米が姿を消したらしかったのです。


 古谷の方が、住環境の都合上、もっと盤石の在庫を、常に保有していますが、あの駅からの遠さ、そして、桃山の運転技術では、車で近づけない立地、復路、お米を担ぎ、歩いて駅までの往復は不可能。


 今現在の彼女にとっては、「ふるやのいえ」 いや、あそこは、もはや難攻不落の「」なので、こちらに、問い合わせが来たのでしょう。


『お米あるよ☺』


 そんな訳で、わたしはそう返信をし、帰宅後、またやりとりの上、到達の連絡を待って、ふたつセットで購入していた5キロの米のひと袋を、「せーのっ!」と、持ち上げ、以前、呼ばわりされた、梅干しワンパックを、オマケとして渡そうと、袋に入れて腕に引っ掛け、エントランスまで運びました。


 そして、それらと交換に、おいしい桃や、小玉スイカ、バナナ、その他、やはりオマケのお菓子が入った段ボールを手に入れ、駐車場もないので、「助かった――、買い置きがあると思ってたらなくって! ありがとう! 落ち着いたら、前々から言ってた、穴場のスイーツビュッフェ行こうね――!」と、言い残して、変な生暖かい夜風が吹き、雨がちらつき出す中、桃山が、素早く去って行くのを、見送っていたのでした。(あとで、ケチや強欲発言を、取り消せと言ったとか、言わなかったとか……笑)


 果物たっぷり幸せ生活。量が多いので、頑張ります。


 皆様どうぞ、何事もありませんように……(言いながら、わたしも、きっと、しばらくの間は、台風に振り回され、オロオロと怯え切っていると思います……わたしも何事もありませんように……)


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・前振り


 サポーターさま限定掲載予定? あの大出世作家の一代記を、面白昔話へ大転換? 元ネタは、清少納言をはじめ、他の女流歌人の文句を、じっとりちくちく? 批評していたという話からです。

 まだまだ、自分の中で、色々検討中ですが(いまの世の中的に、取り扱いするべきではない? などと、朝ぼんやり思ったり……)オイゲン一代記の続きも、割と気になるので。ひょっとしたら、ここだけで終わるやもです。


(もちろん、ま○ろちゃんではない別人格です)


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『紫式部一代記・パイロット版』


 平安の世に、学識高くも、名ばかりの貧乏学者な貴族がいた。彼には、娘がひとり、息子がひとりいる。


 娘は、生まれながらに才能に満ち溢れ、代わりにといってはなんであるが、実に根が暗く、ねたそねみだけを友とした、陰湿でジメジメした娘であった。才能とは、風変わりな者ほど、宿りやすい、いや、才能が満ち溢れているからこそ、変わっているのかもしれない。


 娘が、どのくらい、ジメジメしているかと言えば、ひと目、娘が空を見上げれば、干ばつが疑われて、雨乞の予定が組まれていた。そんな晴れすぎて、我が物顔にギラついていた太陽も、その視線には驚き、瞬く間に姿を隠し、どっさりと大雨が降るほどに、ジメついて暗い、闇に引きずり込まれるような、陰湿な瞳の輝きと、情念を持つ娘であった。


 貧乏貴族の家には、高級品である紙が、学者である父親の為に、必要最低限しかなかった。


 そんな訳で、余った紙など、ありはしないので、ヨレボロの御簾内で、几帳や屏風、ありとあらゆる古ぼけた家具に、娘は、漢詩や経典の書き写しなど、なにかしらを、日々それはそれは美しい筆の跡で、書き殴っていたので、ついには、筆の跡が重なり過ぎて、家具は墨色に、黒光りしていた。


 そんな娘の父や弟は、「いつか、とんでもないことを、しでかすのではないか?」そう思うが、あまりの迫力に、ふたりで肩を寄せ合って震え、おののいたような視線を、どこか暗い菫色の光に覆われているような、そんな娘に向けるだけであった。


 娘の名は、後の『パープル式部』もとい、『紫式部』である。


【おしまい】


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