第30話 正しい力と腑に落ちた思いの巻

※うっすらとセンシティブ(幼い女児関係のお話)な話が、前半で出ますので、無理な方は必ず閉じてください。そして、現代とは違い、男女の差別的用語も出ますが、こちらは、時代的なものなので、そちらは、ご容赦ください。


***


※豆話➡「光る君へ」、楽しみに拝見させていただいております。


 な、なんと、元オンナラブリーの人が、か、き、くっ「公卿」に! とんでもない大出世をしているのです! 最近は、推しの人がスッカリ消えてしまい、元オンナラブリーの人の出世だけを、密かに応援する日々です。なんとか大臣に……無理な話でしょうが。あとは……狩衣の紐ひとつとっても、色々と細かく素敵です。


 以下本編です⬇


***


 わたしは、生まれたときから、いわゆる「大き目の街の子」であり、良くも悪くも、「比較的他人に無関心」そんなところで育っていました。


 そして、かなりボンヤリした子どもであったゆえに、道を歩いているうちに、いつの間にか、「どこかの銀行員の人が乗っていた原付バイク」に、少し踏んづけられていたり、停車している自動車の、いきなり開いた助手席のドアに、避ける間もなくぶつかって、文字通り吹っ飛んでも、特にケガもない「丈夫な体であった」ので、「だいじょうぶです」「だいじょうぶです」そう言って、テクテク歩いて帰宅し、あとで両親に、「たぶん自主申告した人」に話を聞いて、対象者を探した警察から、かなりたってから連絡が入る。そんな幼い少女時代でもありました。


『べつにケガがなかったから……』


 そんな風に、「もっと注意して歩きなさい」と言われながらも、ボーっとしていた「ツケ」とでも言うように、事件は、小学校入学と、ほぼ同時に起こるのです。


 ランドセルを背負い、大きめの制服を着て、「一応小学生、ひとまずは児童」の体裁をした、幼い子どもたちに混ざった、もちろん幼いわたしは、まだまだ、下校時間も早く、そして、その幼さゆえに、「集団下校」をすることになっていました。


 しかしながら途中で、特に仲良くもない子たちが、珍しく現れた昆虫を見つけて、「寄り道は禁止」にも関わらず騒いでいる間、さほど興味のなかったわたしは飽きてしまい、「はやく いえに かえろう」そう思って、ひとりで歩き出してしまったのです。


 そして、細い路地や路地裏に、何本もつながっている歩道、時間ゆえか、人通りの少ない、そんな道を歩いていると、ひとりの青年(多分、当時二十代前後?)が、声をかけてきたのです。


「あの――緑川公園って知らないかな?」

「え……?」


 知っているような、知らないような……ひょっとして、「みどりこうえん」だろうか? 立ち止まって、なにか言いながら近づいてくる青年に、首を傾げていると、わたしはその後、青年に、いきなり路地裏に、「引きずり込まれ」、行き止まりで、「君、かわいいね」なんてこと言われ、凄い力で締めつけられ、持ち上げられていました。


 ぼんやり者ではありますが、その記憶はいまでも鮮明に覚えています。防犯ブザーも手にできずに、固まっていると、おそらくは営業の仕事に従事していたのか、その瞬間を偶然目撃していたらしき、通りがかりの「サラリーマンの人」が、すぐに追いかけてくれたようで、「なにをしている!!」そんな言葉を、ものすごい大声で、路地裏に向かって叫んでくれていました。


 弱い者にしか、「強く出ることができない」ゆえに、「幼い少女」を、しようと思ったのか、それとも、そういう「性癖」の変質者が、目の前をウカウカと歩く「対象物」に、欲情を抑えきれなかったのか、わたしを抱き上げていた(というのもおこがましい唾棄すべき存在)は、いまにして思えば、きっと社会人になる前は、なにかしらの武道をしていた、「腕に覚えのあった」であろう、そんな「サラリーマンの人」に、今度は「自分が引きずり出され」て、あっという間に、制圧されていたのです。


「大丈夫!?」

「…………」


 その頃になると、無関心都市とはいえ、さすがに騒動になって、どこからか湧きだしたのか、数人の人が集まっていて、なにがなんだか、それすらも分かっていなかったわたしは、「だいじょうぶです……」そう言って、とぼとぼと歩き、帰宅しながら、「なにがなんだかわからない。こわかった……」と、思っていましたが、わたしの迷子札?(ランドセルの蓋の裏面に用心のために、迷子用の電話番号などが書いてあった)を、きちんとチェックしていたらしき、命の恩人かもしれない「サラリーマンの人」が、家に連絡を入れてくれていたらしく、帰宅したわたしの周囲は、しばらく大騒ぎになっていました。


 よく痴漢事件などで聞くのが、「そんな恰好をしているのが、うんぬんかんぬん……」というのが、それら性的な犯罪を擁護する、代表的な言葉でありますが、このお話が示すように、なにひとつ「襲われる理由」も持たぬ「幼い児童」であっても、事件を起こす「存在」は、確かに「存在」しており、そこに、「そのような唾棄すべき存在になった者への配慮すべき事情」や「過去の哀しい同情話」など、入り込む余地は、いかなる場合にも、わたしの中には存在しないのです。


「聞いていますか、そこの光○氏? 幼女を丸めこんで、をして洗脳したあげくに、徹頭徹尾やらかしまくる、高貴な元皇子さま? 哀しい身の上()で、知識豊かで教養深いとか言われている御方。結局、自分自分の欲望に走るだけの身勝手で、ロリコンでマザコンで、他の男には厳しかったりする、その他もろもろのの高貴な御方?」


 自分でも、なぜここまで光○氏にを立てているのか、脊髄反射で腹が立つのか? 葵の上奇譚を書き終えても不思議でしたが、このエッセイを書いている途中で、腑に落ちました。

 

※これには、「現実と文学の違いも汲み取れぬ俗物」など、さまざまなご意見が、あろうかと思いますが、いち被害者としての「トラウマ」そう取っていただければ幸いです。


 見知らぬ、そして、わたしの命の恩人であったかもしれない「サラリーマンの人」の正体は、いまだに知らない……


 彼は、名乗りもせず、また、「サラリーマンの人」としての、自分の日常へと戻り、わたしといえば、少し用心深くはなったけれど、あいかわらずアホの子として、街中で暮らしていたのでした。


 この場を借りて、あのときの「正義のサラリーマンの人」に、感謝申し上げます。


 わたしの成長した「このありさま」な実態を知れば……「とほほ……」そんな感情を持たれる気も、なくはないですが。


(次回は、桃山の天下取りの巻←ちょっとだけ、そんな感じです。笑)

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