第14話 黒歴史放出祭っぽいお話の巻

 原罪、もとい現在『黒歴史放出祭』が開催されているそうです。(※参加はしていないのにも関わらず、タイトルだけお借りしました。)


「黒歴史……」


 スペインの異端審問 Inquisitioとか? 有名無実ながら、わりと最近(1834年)まで制度があったのが……。


 と、恐ろし過ぎるお話はさておき、自分自身の黒歴史を振り返るのが、この『黒歴史放出祭』と課程いたしますと、(人の黒歴史を放出するのは、いかがなものかとも思いますし)


 わたしが人生でいままで一番やってしまった! と、思ったのは、ぼ――っとしていて、階段から転げ落ちたことでも、実家で食べ終わったイチゴ大福の包装紙と箱を見比べて、ふと包み紙の中に、ティッシュペーパーを丸めて詰め込み丁寧に復元し、さも、本当にイチゴ大福が入っていると思わせて、はずれを引いた姪っ子に叱られてしまったことでもなく、『月館の殺人』という、とても面白い鉄道推理小説系? のコミック(上下巻)を、なにを思ったのか、下巻から読んでしまったことです。


 気づかずに、やはり鉄道に造詣が深くないわたしには難しい……そんなことを思いながら、結構読み続けていました。


 そして、ふと、もう一冊の拍子に目をやったそのときです。


 そこに『上』という文字を見つけたのは!


『あっ! 下巻から読んでしまっていた!!』


 これに比べれば、なぜか突然パンプスのかかとが取れてしまい、時代劇の草履と違って鼻緒の代わりに、偶然通りかかった靴修理の専門家が、かかとをすげてくれる。(パンプスのかかとって、すげているの? 接着してるだけだった? 記憶が……)


 そんな恋愛イベントが発生する訳もなく、ただただ、頭がまっしろになり、「あっ! そういえばダンスシューズがバッグの中に!」と、地味なビジネススタイルに、キラッキラのハイなヒールのパンプス(本当はダンスシューズ)で、ほぼ、まる一日、ビジネス街を練り歩くはめになったことなんて、別にどうでもいい、ささいな出来事です。(むろん、そのダンスシューズは、本来の目的を果たせなくなりましたが、ダンス教室は、一瞬で通わなくなったので、なにかの啓示だったのかもしれません。)


 そんなこんなで、それ以後は、かなり注意深くなり? 連続小説などを読むときは、きちんとナンバーを確認してからにしております。はい。


『背教者ユリアヌス』の()という字を確かめてから、バッグに入れて持ち歩きつつ……。


2024年 3月

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