第41話 裏1
「しかし、ゾルバよ上手くいったようだな」
「はっ、魔王様、あの「銀髪の勇者」を取り込めるなら安い物です」
「なぁゾルバ、「銀髪の勇者」はそこまでの相手なのか?」
「ああ、強い、彼奴の強さは..上手くは言えぬが怖いのだ、単純な力なら俺にも敵わない、ましてマモンであれば絶対に負けていない」
「なら殺せば良かったのではないか?」
「それが、不思議と戦うと勝てぬのだ...訳が解らん」
「たしか、過去の魔王を倒した多くは「銀髪」だったと聞く、まさか全部が彼奴か?」
「全部とは言わないが、恐らくは多くは彼奴の前世だろう」
「それが忌まわしいあの伝説か?」
「そうだ、「勇者の髪の毛が黒なら怖くない、だが銀髪なら魔族に恐怖が訪れる」 その銀髪の勇者が彼奴の前世だ、恐らくな」
「そうか、戦ってみたいな..彼奴と」
「まぁそれも良かろう..だがお前の肝を食ったから、もう彼奴は更に強くなっているぞ」
「だからこそだ」
「祖先が自分の目を贈っても取り込みたかった、その気持ちも儂には解る..だが可笑しいと思わぬか?」
「どこか、ふに落ちない事でもおありでしょうか?」
「ふむ..咄嗟に誤魔化したが..あの目は魔王の目なのだろうか?」
「何故、その様に?」
「元賢者のアイルだが世には化け物にしか見えなかった..余の目から見て美しく見えたのは..まぁ鳥としてだがスワニー、どうにか真面に見えたのはエルザだがそれでも醜女だ、あとの二人は化け物だ」
「ああっ」
「スカル、説明はつくか?..この中にセイルと代わりたい、そう思う者はおるか? 余はあの中に居たいとは思わぬ..あれが魔王の目なら、美女に見えている筈じゃ」
「確かに..」
「確かに祖先の魔王は醜かったが美的感覚までは狂っておらん、あれは方便じゃ..少なくとも、「死の女王」を愛でるような存在じゃない」
「たしかに」
「では、失敗作とはいえ、それに似た女を愛でる彼奴の目は何なのだ」
「解りません、転生の際にイレギュラーが起きたのでしょうか?」
「まぁ良い..強い味方が出来、「銀髪の勇者」が二度と現れない、その事を祝おうじゃないか?」
「そうですね、あの者ならプリンスの片腕にも良いかも知れません」
「そう思うか?」
「はっ」
「これで息子の代に勇者が生まれても安心だ」
「「はっ」」
目の理由は解らない、だがセイルが愛した者は魔族から見ても醜かった。
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