第36話 譲れないもう一つの戦い

「そう言えばお土産があったんだ」



「そう何ですかセイル様、態々スイマセン」


「お肉はあるのかしら」



「ごめん、スワニー肉は無いよ!」


「それは残念だわ」



「それでセイル殿、何を買ってきたのですか」


「セイル、楽しみだわ」



「それじゃ出すね」



(セイル様..異空間収納まで持っているなんて流石です)


(セイル殿は本当に冒険者なのか? 収納持ちなんて冒険者なんて居るのか?)



「セイル、収納持ちだったの? 私は知らないわよ」


「なんだ、幼馴染なんて言っても全然何も知らないのね、ユリアは」


「アイル煩い..」



「それで買ってきたんじゃないけど..せっかく戦場に行くんだから「戦場漁り」もしてきた。今から出すから、皆で必要な物を分けてくれ」



「なっなななな何なの..これ、流石に聖女の装備には及ばないけど..回復の杖や、白魔法の杖迄あるじゃない」



「ミスリルの剣にミスリルアーマーまで..あっビキニアーマーもある」


「漆黒の杖がありますね..流石に衣は今の衣以上の物はありませんね」



「どうしたんだ?スワニーは欲しい物が無いのか?」


「初めて見るので何が必要だか解らないのだわ」



そうか、スワニーは「道具」すら見た事が無いんだな。



「それじゃ、スワニーの必要そうな物は僕が選んで良いかな?」


「任せるわ」



結局、僕はスワニーにスピード重視の装備を選んだ。


「しかし、凄いなこれは、ミスリルの装備なんて姫騎士でも装備しないな」


「そうなの? 凄い装備が貰えそうだけど?」


「ユリアは聖女だからそう思うかも知れないが、姫騎士とはいえ「騎士」なんだ爵位で言うなら騎士爵、一番下だぞお金だってたかが知れている、特に私は嫌われていたからな..」



「ユリアや私は四大ジョブだから恵まれていただけだよ」


「そうなのかな?」


「ユリアが身に着けていた装備一式で大きな屋敷が3つは買える位なのよ」


「えっ、そんなに価値があったんだ...あの装備」


「まぁ、ユリアは実戦に出る前に取り上げられたからその価値が解らないのね」



とにかく、機嫌が良くなって良かった。


皆が、それぞれの装備や宝飾品等を見てうっとりしている。


僕? 僕は最初に着込んだミスリルの装備をそのまま着ている。


嫌な話であるが、「戦場漁り」は凄く割が良い。


普通に考えて何年も掛けて購入する装備が..そこら辺に転がっているのだから拾い放題。


死体が着ていた..その事は黙っておこう。



懐も温かくなったので、最近では当たり前の様になった「ミノのステーキ」を食べて帰ってきた。



そして夜になった。



「セイル、昔を思い出して一緒に寝ようよ」


ユリアは薄い生地の可愛らしいピンクのパジャマを着て誘ってきた。


「待て、ユリア、添い寝だったら私がする、ビキニアーマーを着て添い寝するのは私が購入された時からの約束だったのだ..今ビキニアーマーがこの手にあるんだ..今夜は譲ってくれ」



エルザはとにかくエロイ..ビキニアーマーは大切な所こそ隠れているが殆ど裸に近い。


ただ、そのビキニアーマーは首チョンパされた女が着ていた物なのだが..まぁそれは今回は関係ない。



「エルザが約束したのはビキニアーマーを着る事でしょう..ここは私の為に戦ってくれたセイル様を癒す為に私が添い寝します」


アイルが着ているのは何処で買ってきたのか紫色のスケスケのベビードールだった。


「なんて物着ているのよ!このエロ賢者!」


「夜の私は賢者じゃありません! やっぱりユリアはおこちゃまね..そんな色気の無いパジャマで癒してなんて上げられないわよ」


「何ですって!」


「いや、2人とも肝心の胸が無いだろう? 男は胸に癒しを感じるんだ..私が適任だ」


「そんな脂肪が大きいだけで勝ち誇るの..脂肪の塊じゃない」


「無い奴に言われても..」


「そうです、私の様にスレンダーな方がセイル様は好みな筈です」


凄く、嬉しいし目の保養になるが..誰を選んでも明日が怖い..此処は逃げるが勝ちだ。


ゆっくりと扉の方に近づき..逃げる準備をする..だが



「セイルの考える事はスワニーにはお見通しだわ..だれかと寝るならスワニーが一番だわ」


扉の前にはスワニーが座っていた。


これで僕は逃げられなくなった。



アイルが杖を持ち、エルザが剣を持とうとした所で


「あの、じゃんけんで決めてくれないか」そう僕は意見した。



じゃんけんを制したのは..エルザで今日の添い寝はエルザと決まった。




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