第32話 魔王より怖い
「また5週間ばかり行ってくる」
「また護衛依頼か?」
「また随分と急な話だね? なんでそんな依頼を受けたの?」
「悪い! 色々あって受けざる得なかったんだ!」
流石に急すぎるよな、気が付くか。
「相変わらず、セイル殿は人望があるな、色々と世話になった相手じゃ仕方ないな」
「セイル、本当に護衛依頼なの? 男同士でいかがわしい所に行くんじゃないでしょうね?」
「少し寂しいけど仕事じゃ仕方ないわ、スワニーは我慢するわ」
「セイル様..働きすぎですよ..」
うん、大丈夫そうだ。
「如何わしい所に行く必要は無いでしょう..これだけの女の子に囲まれているんだからさぁ、まぁ、流石にこの次からは長期の予定を入れる時はちゃんと事前に話すよ..ゴメン!」
「まぁ良いわ、信じてあげるわ」
「.....」
「せっかくパーティー組んだのですから次からはパーティで出来る依頼を受けて下さいね」
ここまでくれば一安心だ。
だが、門の所でエルザが待っていた。
「セイル殿、流石に2回目だ、行くのだろう?」
「エルザ、何の話?」
「私の時と同じ様にアイルの敵討ちでもするんじゃないのか?違うのかな」
「違うよ、今日はケムさんと一緒に」
「なら、ケムさんが来るまで待たせて貰う」
二回目じゃバレるか仕方ないな。
「まぁ2回目じゃバレるよね...その通りだ」
「セイル殿、まさか魔王軍とやり合うつもりか?」
「それはしないし出来ない」
「じゃぁ..」
「狙いは不死の軍団長スカルのみ、他は相手にしない」
「それは魔王軍とやり合うという事ではないか、それなら私も行く」
「それは駄目だ!」
「これでも、私は姫騎士だぞ..戦える、主を守らないで何が騎士だ」
「駄目だ、エルザが居ると戦えないからな...」
「何故だ!」
「それはエルザが俺にとって大切な存在だからだよ」
「それは..卑怯だ」
「僕は正々堂々と戦う気はない..ただ殺すだけだ、正面から行ったらまず勝てない..薄汚い戦い方でいく、だからエルザには見せたくない」
「それでも護衛は必要だ」
「暗殺者に護衛は必要ない」
「なら、行くのを辞められないか? アイルなら別にスカルを倒さなくても時間を掛ければ元気になるだろう」
「いや、駄目だな..昼間は元気でも、アイルは夜中に良くうなされている」
「それだって時間が解決してくれるだろう」
「なぁエルザ、これは簡単な話しなんだよ? 大好きな女の子に好かれたいから、ただ男が頑張る、それだけの話だ」
「ただ、それだけの為にするのか...四天王だぞ」
「それだけだよ..だけど、これ凄いんだぞ」
「なにが?」
「姫騎士ですら好きになって貰えるんだ」
「あっ..」
私は自分の時に救って貰った。
そんな私が行くなとは言えないな。
「それじゃ行ってくる」
「セイル殿、必ず生きて帰って来いよ」
「ああ」
「この事はユリアやアイル、スワニーに話すからな..帰って来たら二度としないようにお説教だ」
「わ、解った」
ユリアのお説教か..その方が魔王より怖いな..
帰ってくるのが怖い..
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