第25話 王の判断

スェルランドのお城は大騒ぎとなっていた。


王宮騎士2人が殺され、王女は首が無くなっていた。


メイドが不審者に気が付いたが気絶させられ、全く手掛かりが無い。


これでは全く手のつけようが無い。




大きな騒ぎに成るかと思われたが..


スェルランド王、ジョセフ三世は涼しげな顔で腹心達に伝えた。


「いい機会です、ミランダの実家、スオード公爵家を切り捨てましょう..今直ぐ軍を編成して送り込みなさい」



「王よそれはどういう事でしょうか?」


「一石二鳥です。スオード家はミランダが正式に王女となった時に裏でこの国を自分の物にしようとしていた節があります」


「ですが、それは噂であって真実は解りません」



「だが、国の貴重な「姫騎士」への迫害、他の貴族の令嬢への虐待の証拠はある..黒で良いんじゃないですか?」


「しかし、証拠が」


「あるじゃないですか? ミランダが私を殺そうとして、それから守るために王宮騎士2人が死んだ、充分です」


「な!..ですが、首の無いミランダはどうするのですか?」


「燃やしてしまいましょう..それで終わりです」


「ですが」


「良いですか? もしこれが賊による物にしたら、騎士団長を含み何人処分しなくちゃいけないのでしょうか? そんな事は私はしたくありませんよ! 腹心の貴方を牢につなぐなんて私はしたく無いのです..」


「そうですな..王宮騎士2人は名誉の殉職、スオード公爵家に今直ぐ軍を送り更迭します」


「さすがスベル卿、頭の回転が速い」


「御意」




どこの賊か知りませんが感謝しかありませんね。


第二王子フリードが馬鹿をしたから、強く出られない事を良い事にやりたい放題。


せっかく、第一王子と婚約させてやったのに..拒んで、裏で馬鹿にしている様子。


第一王子のジークにしたって他に思い人は居たのです。


ですが王家の償いとして諦めさせた。


王家や貴族には義務があります、すぐに愛せとは言いませんが、その努力を怠ってはいけません。


まぁ賊にしたって、私や王妃、王子に手を出さなかったのなら..ただの私怨でしょう。



案外、本当はスベル卿あたりが裏でかたずけてくれたのかも知れませんね..


私が困っているのは腹心なら皆な知っていましたからね..


いずれにしても事態を収束させて終わり..それが良いでしょう。



ミランダは沢山の恨みをかっていた。


それゆえ、大事にはならず..全てが終わった。





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