第24話 エルザの為に

「ただいま」


普通に帰ってきた。



「セイルお帰りなさい」


「お帰りだわ」



「セイル殿お帰り」



「それで、セイル、お土産とかは無いの?」


「ごめん、忙しくて買う暇が無かったよ..」



「セイルにしては珍しいね」


「ごめん、今日の夕飯は、ミノでも奢るから」



「ミノ、スワニーはそれが一番嬉しいわ」


「まぁ良いけどね」



「セイル殿、私に何か用なのか?」


「まぁね、そうだ、この後用事ある?」


「私は暇だ」


そりゃそうだ..パーティで行動を起こさない限り暇な筈だ。



「それじゃ出かけないか?」


僕は木刀と包みを持った。



「いいな、久しぶりに私も体を動かしたいからな」




ちなみに、スワニーとユリアは来ないのを知っている。


以前に付き合って貰ったらすぐに飽きてしまったから。




門を出て外に行った。


「もうこの辺で良いんじゃないか?」


「ちょっと森迄付き合って欲しい..」



「森になにかあるのかな?」


この辺りまでくればもう人は来ないだろう。



「あのさ..エルザは復讐がしたいんだよな」


「ああっそれだけは譲れない..いつかセイル殿に恩を返したら、自分を買い戻す、そして自分でかたを付ける気だ」


「僕はエルザと別れたくない」


「こんな容姿になってしまった私にそんな事を言ってくれた人はセイル殿だけだ..女としては凄く嬉しい、だが復讐心は忘れられない」



そう言うと思った。


「それに、セイル殿にはスワニーやユリアが居る、私が欠けても大丈夫だ」


「僕は贅沢なんだ、一旦手に入れた物は手放したくない」


「私は買われた身だからな..それには従う、だが復讐心は忘れられない..それに相手は王族だ..セイル殿にも迷惑が掛かるかも知れない」



やはりこうなると思った。



「僕は何があろうとエルザもスワニーもユリアも手放さない、死ぬまで一緒に居る気だ」


「そうか、なら私は復讐心を抱え生きていくしか無いんだな..嬉しい気持ちと悲しい気持ちが押し寄せてくる、複雑だ」



「だから、これを受取ってくれ」



「これは?」


「良いから見てくれ」



「こ、これはミランダなのか?」


「まぁな」


「どうしたんだ、これ...まさかセイル殿がやったのか?」


「ああ」


「どうしてだ、相手は王族だぞ..どうするんだ..」


「暗殺したから問題ない..目撃者も殺した」


「何故..何故ここ迄してくれるんだ」



「僕は贅沢なんだ..そして寂しがりやだ、こうでもしなければエルザは離れて行く、失いたくないだからした事だ気にしないで良いよ」


「だが..私は何を返せば良いんだ..この身もセイル殿が買った身だ、返せる物が何もない」



「だったら、心をくれれば良い..僕の望みは4人で面白可笑しく暮らす事..それ以外は何も無い」



「それが望みなんだな、その望みが叶うように精一杯頑張らせて貰う」



「ありがとう」


「お礼を言うのは私だよ」



エルザはミランダの首を放り投げると木刀で殴った。


流石は姫騎士、首はスイカを割った様に砕けた。


この首から誰かは解らないだろう、それに此処には獣も多い直ぐに食われてしまうだろう。



「セイル殿行こうか」



「そうだな」



エルザの顔にはもう翳りは無くなっていた。

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