第23話 暗殺


エルザに今迄の経緯を聞いた。


「ちょっと護衛依頼を受けたから10日間位留守にするね」



「セイル、まさか居なくなったりしないよね?」


ユリアは幼馴染、こういう時は妙に感が良い。


「違う、違う、ファングの依頼に付き合うだけだよ」


「そう、なら良いわ」


「スワニーはちゃんとお留守番しているわ」


「危ない仕事じゃないのか? 私が付き合った方が良いんじゃないか?」



「ただの商隊の護衛だよ、男ばかりだから、皆には遠慮して欲しい..」



(こんな私に男が何かするわけ無いのに)


(私を相手する男など居ない)



(だけど、それを言うのは無粋だ)



「それじゃ無理だね..留守番しているわ」


「男ばかりじゃ仕方ないな」




ファングには口合わせして貰っている。


「たまには男として羽を伸ばしたい時もあるよな」


と違う意味で誤解していたが、そのままにした。




獣道を進み、3日も掛からずスェルランドについた。


僕が聞いたミランダという女は粘着質だ。


エルザを不幸にする事に固執していたようだ..


もしかしたら、エルザが購入されて幸せになったら、また邪魔してくるかも知れない。


それ以上に誰かに見張らせていた可能性もある。


エルザを買ったのが禄でもない男なら..そこで終わったかも知れない。


だが、僕は出来るだけ幸せにするつもりだ。


もし、僕たちが成功したら邪魔するかも知れない。


その時は「僕の家族が危ない」


僕が見てない所で手をだして来たら守れない。


だから、先手を打つことにした。


スェルランドの城でまだ式を挙げて居ないのに王女の様に振舞っている。


そこまで解れば充分だ。


前世では単騎で魔王城に押し入り戦った。


当時の様な能力は無い。


今の僕の能力は、騎士団団長位の力だろうか。


ただ、これは大国のとつく国のレベル、小国のスェルランドなら無双できる


恐らく、城には100人も居ないだろう..


しかも正面から行くのでなくただ一人女を殺して出てくる、それだけだ。



門番が居るが、視界に入らない様に回り込む。


2人しか居なければ、視界の隙間を抜ける事など簡単だ。


そのまま、忍び込む...運悪くメイドと出くわしてしまった。


直ぐに声を出されたら困ったが、戸惑ってくれた。


その合間に首に手とうを打ち込み眠らせた。


そのまま夜に隠れるように塔を登る。


魔王に比べて本当に人間の王族は馬鹿だ。


高い所に居を構える。


小さな城等は外観から何処に住んでいるかおおよその場所が解る。


ある意味、城の役割を果たしていないともいえる。


王族が住むであろうフロアに来た。



さっきのメイドとは違うちゃんとした警備の為の騎士がいる。



平和ボケしているからか緊張していない。


可哀想だが死んで貰う。


殺してやるのがある意味慈悲になる。


生き延びてしまったら「王族を死なせた騎士として死よりも辛い日常が待っている」


ナイフを使い首掻っ切った。


異変に気が付きもう一人の騎士が襲ってきた。


王宮騎士は騒がない。


大きな声を出して王族に知らせるのは愚とする事が多い。


気が付かないうち「処理」するそれが王宮騎士だ。


良かった..此奴はプロだった。


だが、おかげで騒がれずに済ます事が出来た。


後は運だ。


王女だから小さい部屋の可能性が高い。


一番小さい部屋から調べる..2か所目の部屋に、ミランダが居た。


「だ」


言わせない様に口を塞いだ。


「首を振る事で答えろ、エルザを知っているか?」


首を横に振った...


嘘だろう、あれ程の事をして忘れているのか..


「良く思い出せ」


今度は縦に首を振った。


「なら、俺が何故此処に来たかわかるな..さよならだ」


首を掻っ切った、あっさりと死んだミランダの首を切り落としてこれで終わりだ。


そのまま首を包んで持って帰る。


来た時と同じ獣道を進んで帰ってきた。



門の近くで帰りのファングに合流してこれで終わりだ。


「羽は伸ばせたか?」


「まぁな」


「それは良かったな」

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