第20話 見せしめのエルザ③ 怪物使い
エルザは奴隷として繋がれる事になった。
だが、買い手が来ない..しかも自分は「姫騎士」
護衛としても使えて、嫌な話だが性の相手もさせられる奴隷としては最高の筈だ。
絶望しか無い..だがあの暗闇の中の絶望に比べれば良い..
何でもする..男の相手でも何でも..そして自分を買い戻して、何時かミランダを殺す。
だが、私の所には誰も来ない..
手前では間違いなく商談されている。
だが、私の居る扉は開かれない..
16歳の処女で姫騎士..売れない訳が無い。
実際に騎士の時は沢山縁談がきていた。
此処にもミランダの手が回っていたのか..
食事はパンと水..トカゲよりは良い、だが、幾ら何でも可笑しい..
こんなんでは美貌は保てない...
水を飲む為に顔を近づけた..そこには..顔が潰れた老婆の様な顔が映った。
そうか..あははははは...そうか...私は死のうとして何度も顔を打ち付けていた。
しかも、恐怖で白髪になって老婆みたいになったのか...
何だ..終わっているんだ..あははははっ
私は此処で死ぬんだ..誰にも買われずに..
「処女で16歳、性病無し」
しかも、銅貨2枚、それに釣られて見に来るものも居る。
だが顔を見るなり
「ひぃいいいいいいいいいいっ」
「だから、言ったでしょう? 買いますか?」
「かかかか買う訳無いだろう..こんな化け物」
豚の様な男も
カマキリみたいな男も
どう見ても最低の男でも私は買いたくないらしい..
自分が男だったら..買わないなこんな女..
もう諦めがついた..
此処で誰にも買われない化け物みたいな奴隷として死んで行く..それが私の運命だ。
「すまねぇ..セイル、苗床の心辺りがあったから探してやったが、混じり物は見つからなかった」
エドガーさんにファングにキムさん、それだけじゃ無い、他の魔物使い達が必死で探していてくれた事は解る。
何故なら、討伐が凄く多い..特にゴブリンとオークがそれが全部とは言わないが、少しは関係あるのだろう。
「逆に気に掛けて貰ってすみません」
「良いんだよ、セイル、俺にとってあんたは子供みたいなもんだ」
「子供?」
「万年銅級、しかも魔物使いの俺じゃ家族なんて持てねぇからな」
「いや、たしかに裕福じゃ無いけど暮らせるんじゃないか」
「あのよ..お前から見たら違うかも知れないが...魔物使いは モテないんだ..娼婦すら嫌うんだぞ」
「そんな事」
「あるんだ、ファングをみて見ろ! 銀級だぞ..しかもセイル程じゃないがイケメンだ..なのに彼奴は女が居ないんだ」
「そうかな、狼系を従えている彼奴はカッコいいと思うよ」
正直顔は全員醜くしか見えないから解らないが..
「だがな、そんな彼奴も本当にモテない..それどころか臭い、汚いと嫌われる」
「可笑しいだろう」
「それを可笑しいと言うお前が可笑しい..だがな、本心からそれを言うお前に救われているんだ、「冒険者」のジョブなのに「魔物使い」に憧れているお前にな」
「そうか..ただ僕はスワニーやユリアと楽しく過ごせる街を作ってくれた「あんた達」に感謝しているだけなんだよ」
他にいったら、「気持ちがられる」だけだ。
「まぁ、良いや、俺たちはお前が気に入っている、それだけだ」
「それなら、僕も皆んなが好きだ..それだけだよ」
「そうか、それなら..そうだ、実は情報があるんだ」
エルザの事について話を聞いた。
「本当なんですか?」
「ああ、間違いない..言っちゃなんだが、スワニーやユリアが居るんじゃ真面なメンバーは集まらないだろう..だが、大丈夫か?」
「何がですか?」
「エルザはスワニーやユリアより..恐らく醜いと思うぞ..見てないから知らないが、人によっては気絶するらしいからな」
「本当に?」
「ああっ実際に、金の無い奴で性欲が強い奴がいて買おうとしたが...顔を隠しても怖くて出来ない、そう言っていた」
「本当に」
「ああっ、実際にそいつは遠征の際に性欲に負けてゴブリンのメスを使って性処理して性病に掛かったアホだ..そいつがそう言った」
凄いじゃないか..
「直ぐに行ってきます」
「おい、話を聞いていたのか?」
「はい」
いっちまったな。
本当に怪物王子とはよく言ったもんだ、男なら皆んなが憧れる「女神の宴」のパーティー入りを断り。
「赤髪のジル」の相棒も断る..名だたる美人冒険者がお前を狙っていたんだぜ..
尤も、スワニーやユリアを仲間に選んじまったから..離れて行ったけどよ..
「魔物使い」に憧れるって言うがお前は「怪物使い」だな..まぁ憧れはしねぇが、完全に仲間だよ。
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