第13話 ファング

あれから、随分ファングとは仲良くなった。


ファングは銀級冒険者だ、その事が解ったから「さん」をつけて話したら。


「そう言うのは良いから」と言われてしまった。


だから、「ファング」と気さくに呼んでいる。



「しかし、お前随分変わっているよな..まるで奴隷の扱いが恋人みたいだぞ」


「まぁな、スワニーは半分恋人みたいな物だ」



まぁ、見ていればいずれ解る事だからな。



「混じり物なのにか? 俺やエドガーさんは確かに従魔を家族のように思っているけど..お前はそれ以上な気がする」



可笑しいな、なぜかファングが僕を試しているような気がする。



「僕は確かにスワニーが大好きだよ..ちょっと依存しているかな」



「どういう事だ..」



美少女に見えるというのは内緒にしたいし..嘘をつくしか無い。



「あのさぁ..僕はまず小さい頃に家族を失った」



「そうなのか?」


「そこはそれ程の事じゃない..その後、仲の良い幼馴染の家に引き取られたんだ..まぁ相手は可愛い女の子だよ」


「それで」


「僕と結婚したいと言っていたが、聖女になって勇者を好きになって振られた..」


「何だか意味が解らない」



仕方ない..もう少し詳しく話すか。



「成程、お前、あの可愛いって評判の聖女の幼馴染だったって訳だ..だけどそれが何かあるのか?」



「1人が嫌だった...家族でも恋人でも良い、何があっても傍に居てくれる人が欲しかった」


「それがスワニーか?」


「そうだよ」


「納得..お前にとって家族で恋人、そう言う訳だな」


「そういう事だな..まぁ向こうはどう思っているか解らないけどな」



「一緒に居れば仲良くなるさ..それで奴隷商で聞いたんだが、混じり物が他にも欲しいって本当かよ!」


「うん、すぐじゃ無いけど出来たらね..これはファングだから言うけど、混ざり物達とパーティーを組んでいきたいんだ」


「何だ、それ一般の冒険者から嫌われるぜ..魔物使いみたいに扱われるぜ」



魔物使いか..羨ましいな、確実にハーレムじゃないか..いまの僕が一番憧れる職業だ。



「良いな、魔物使い。正直成れるなら今からでも成りたい位だ..」



(本気で成りたそうだな..)



「この街は別だが、他の場所じゃ蔑まれて嫌われるんだぞ!」



「それでも、魔物と仲良くなれるんだ..羨ましい」


「まぁ、ジョブが違うから成れないな..残念だな」



(魔物使いに成りたいか..だから此奴が気になるわけだ)



「本当に残念だ」


「そう言えば、話は戻るが、嘘じゃないんだな、混じり物の話し...」


「ああっ、本当だ、ただ欲しいのはメスだけだけどな」



「お前、まさか変態か?」



「違う..ただスワニーを見ていると何だか母性があるような気がしたんだよ」



「成程、確かにメスの方が優しい感じはするな..」



「そうだろう」


「解った..だったら、俺たちも見つけたら、手に入れるようにするよ、そしてそうだな、銀貨5枚程度で譲ってやる、どうだ?」



「それは凄く有難い..だが残り2体位だけど良いのか?」


「おいおい、そんなに期待するなよ...滅多に手に入らないんだからな」


「解った、期待しないで気長に待つよ」




(エドガーさんが気に入る訳だ、俺も気に入ったよ..魔物使いに憧れるかよ、此奴の前では俺も優しい先輩になれるな)

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