第8話 初めての夜
これでようやく、人生で一息つける。
永かったな、化け物に囲まれて15年ようやく美少女に出会えた。
流石、魔王の呪いだ。
せめて、人間の中での美醜逆転にして貰いたかった。
恐らく振り幅が可笑しすぎる。
凄い美人、美少女 →ゴブリンやオーク何か比べ物にならない位醜い。
二目と見れない不細工な女→ 二目と見れない不細工な女
化け物にしか見えない → 凄い美少女
僕の目にこう見える。
不細工で行き遅れと言われる「豚姫」事マリア姫。
公爵令嬢で「ゴブリン令嬢」と言われる、ルイス。
その似顔絵で「普通の子」それ位にしか見えない。
この二人は歴史的にも不細工で有名なんだ..それが、その程度。
つまり、僕にとっては化け物レベルでないと可愛く見えない、そういう事だ。
前世の知識であった、混ざり物に期待を込めたが、今の時代では出会う事は殆ど無いみたいだ。
一応、奴隷商の主には、もし入荷する事があったら「声を掛けてくれ」と頼んだ。
「一応、気には止めて置きますがまず、無理でしょう」
そう、言われた。
だから、これでもかという位に美しい彼女が 今僕の傍に居る事は...女神に祈る位に嬉しい。
もし、ユリアが彼女の容姿だったら、勇者と間違いなく決闘していたと思う。
そして女神の様な天使の様な美しい女性が今目の前にいる。
僕が知っている女性で一番綺麗な女性は、前世で会った、ルール姫だが..それすら霞む。
「買ってくれてありがとうって言うべきかしら?」
「それは気にする必要はないさ、僕がいっしょに過ごしたいから買った、それだけだよ」
「そう、本当に物好きね..こんな化け物を買う何て、それで貴方はどうしたいの?」
「どうしたいのって?」
「私みたいな化け物は、見世物位しか使い道が無いわよ?、もしくは何かの囮にでもするのかしら?」
「僕は冒険者なんだ、もし良かったら一緒にパーティーを組んでくれないかな?」
「冒険者って何かしら? パーティーって?」
「それはおいおい説明するよ..もしやってみて出来なかったら、その時は出来る事だけやってくれれば良い」
本音で言えば彼女が傍に居てくれるだけで充分だ。
「あのさ!」
「どうかした」
「私は奴隷なのよ..他の事はともかく、その身分についてだけは聞いたわ」
「それで?」
「ご主人様には逆らってはいけない、そう教わったわ!」
「確かにそうだな」
「それなのに、何で貴方は「命令」をしないの?」
「そうだな、本当の意味で友達になって欲しいからかな?」
「友達って何かしら?」
「友達って言うのは..何て説明すればいいのかな..うん、僕は君を大切にするという事だよ」
「そうなの...ありがとう!」
「そう言えば、名前を聞いてなかったね、名前は?」
「名前..ないわ」
「そうか..それじゃ、僕がつけて良いかな?」
「良いわよ」
「それじゃ..スワニーでどうかな?」
「どういう意味なの?」
「スワンっていう白くて綺麗な鳥が居て、そこからとったんだ」
「へぇー 綺麗な鳥なのね..良いわ」
「僕の名前はセイルって言うんだ、宜しくねスワニー」
「宜しくセイル」
「所で、スワニーは何歳なのかな?」
「多分、1歳位ね」
1歳..そうか、モンスターは成長が早いから1年もしないで大人になる。
普通に考えれば生まれて15年も売れなければ、処分するだろう。
ギルドの時点でお腹にいたのなら..そうなるな。
1年間、しかも外の世界を何も知らない..一から教えないといけないのか。
「さてと、そろそろ遅いから寝ようか」
「解ったわ」
スワニーはそのまま床で眠ろうとした。
「そこにベットがあるから、使ってよ」
「これは私が使ってよいの? これは「高い商品」しか使っちゃいけないと聴いたんだけど..私は「混ざり物」だから毛布も駄目って聴いたわ」
「ああっ!言ったろう? 友達になりたいって」
「そう、大切にしてくれるのね...ありがとう..」
「明日は街を見て回るからね..お休み」
「お休み」
ただただ話しただけなのに、夜中になっていた。
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