第九話 作業厨、ダンジョンを出る

「さて、ドロップ品は何かな~?」


 俺はボロボロと崩れていくアースドラゴンを見ながら、声を弾ませて言う。

 いやーだってここからスキル結晶っていう、スキルを新たに取得できるアイテムが出ることもあるんだぜ?

 いくらダークからそこまでいいものは出なさそうと言われてたとしても、わくわくは止まらないのだ。

 そうしている内にアースドラゴンの死体は完全に崩れ去り、その場には宝箱だけが残った。


「さあ、アタリ出ろっ!」


 俺はそう願いながら、宝箱をパカッと開ける。

 するとそこには――


「……お、これスキル結晶じゃないか?」


 どこか見覚えのある、透明な水晶体があったのだ。

 間違いない。これはスキル結晶だ。


「あら? 本当に出たわね。運がいいわ」


 ニナも後ろから宝箱の中身を覗き込むと、軽く目を見開いてそう言う。


「よし。それじゃあ、何のスキル結晶なのか確かめないとな」


 そう言って、俺はそっとスキル結晶を手で持ち上げる。


「そうね。ちゃちゃっと鑑定で確認しちゃいましょ」


「りょーかい」


 ニナの言葉に頷くと、俺はこの水晶体に鑑定を使う。


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 名前 スキル結晶(指弾強化)

 魔力を流すと、指弾強化を取得することが出来る。ただし、一度使うと効力を失う。

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 ふむふ……む?


「指弾強化……とは?」


 イマイチ想像がつかないスキルを前に、俺は思わず首を傾げる。

 だが、ニナは知っていたようで、「ああ」と言葉を漏らした。

 そして、俺に向き直ると口を開く。


「指弾強化っていうのは、こう、パチンって指を弾く時の威力を上げるスキルよ」


 そう言って、ニナは親指に中指の先端を添えると、パチンと弾く。言うなれば、これはデコピンだ。


「なるほど……微妙だな」


 俺はスキル結晶に視線を落とすと、小さく息をつく。

 デコピンの威力を上げたところで何になるんだよ。これじゃあ、筋力強化系の完全劣化ではないか……

 なるほど。確かにこれは微妙だな。

 少なくとも、俺は習得しても使わない。ただ、気持ち的な意味で、一応取得しておきたい感はある。魔法陣開発の参考になるかもしれないし。

 何とも複雑な気分だ……


「ま~スキルはあっても困らないからな。それで、これはどうする? 使いたいか?  それとも売るか? どうでもいいんだったら、一応習得してみたいからさ」


 俺の一存だけでは決められない。

 そう思った俺は、ニナに向き直ると問いを投げかける。


「ん~レインのお陰でここまでこれたようなものだから、レインの好きなようにしていいよ。それが無くても、利益は割と出てるし」


「ああ、ありがとう」


 口元に手を当ててそう言うニナに、俺は軽く礼を言うと、スキル結晶に魔力を込めた。


『スキル、指弾強化を取得しました』


 脳内に、スキルの取得を伝える声が響く。

 よし!……と大手を振って喜べるようなスキルではないが、取りあえず取得は出来た。

 これは、後でじっくりと試してみるとしよう。

 俺は使えなくなったスキル結晶を無限収納インベントリの中に放り込むと、ニナに向き直る。


「それじゃ、行くか」


「そうね。行きましょ」


 俺たちは頷きあうと、奥に開かれた扉を潜った。

 そして、51階層へと続く階段を確認すると、口を開いた。


「さて、取りあえずこれで目標の50階層に到達したわけだが……帰るか?」


「ええ。ダンジョンに長居してたら、昼夜の感覚とかが狂って、精神的に大変なことになるからね。確か、この辺に……あ、あったあった」


 死角になってて、見えずらい場所にあった脇道を見つけ、迷わずニナは入る。

 俺も、直ぐに後を追った。

 そうして見えてきたのは、白い魔法陣が地面に描かれた祭壇のようなものがある小部屋だった。

 これは、10階層ごとに存在する転移地点ワープ・ポイントで、この上に乗ると、1階層の入り口付近に転移することが出来る優れモノだ。

 一応これもダンジョンコアが生み出している物だが……毎度の如く、ダークのダンジョンには無かった。理由は勿論以下省略。


「さあ。これに乗って、上に行きましょ」


「だな」


 頷くと、俺はニナと同時に魔法陣の上に乗った。

 すると、やがて魔法陣は白い光を放ち、俺たちを包んだ。

 刹那、俺たちはどこか見覚えのある場所に立っていた。どうやら無事、1階層に戻ってこれたようだ。

 その後、俺たちはのんびりと来た道を戻り、やがて――


「……出たか」


 外から差し込んでくる光へ跳び込み、ダンジョンの外に出た。


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はい! 何とか時間を作れたので、更新できました!

えー本日12月1日は、皆さんも知っての通り(?)カクヨムコンの開催日です!

それに伴い、何と俺は……


新作3つを本日投稿しました!

しかも!3作品全て10万字以上のストックを持っているという徹底ぶり!

めちゃくちゃ頑張ったなぁ……


あとは、人気が出るか次第です。

題名はそれぞれ、


【全てを失った少年は、なにがなんでも死にたくない!】

【F級テイマーは数の暴力で世界を裏から支配する】

【ゲーム世界に転生した俺は、転職を繰り返しながら自由に生きる 〜あ、主人公たちがピンチだ。でも目立ちたくないし、陰ながら助けるか〜】


です!

上から順に、『ダークファンタジー系』『貴族家から勘当されるけど強いから問題ない系』『ゲーム世界転生系』って思ってください。


長くなりましたが最後に、大変厚かましいかもしれませんが、どうかこれらを作者ページの方から読んでみてください!

初動がやはり大事ですから。

そして、出来ればで良いので、フォローや★★★もお願いします!

やっぱり、受賞したいので。

さあ、カクヨムコン頑張るぞ!


……じゅ、受験もがんばるぞぉ!

共通テストまであと1か月だぁ……!

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