第2話 スポットライトを当て続ける

 ……で、Web小説の中でも心理描写が秀逸しゅういつ、と評されるBLを読み漁りました。


 そして、これがまた、私には苦痛で堪らないたぐいのストーリー傾向だったんです。


 何が苦痛かといえば、どのストーリーでも主人公が自分の感情をストレートに会話にしたり、片想いの相手にも、脇を固める主要人物にも、それをぶつける。

 地の文の大半も、主人公のが、つづられる。

 ほぼ垂れ流し状態です。


 文学のように地の文で、主人公の今の心情をなんて、まどろっこしいことはしませんよ。


 片想いの相手に優しくされたら、嬉しがる主人公。

 ライバルが出現したら、ハラハラしたり焦ったり、落ちこんだりする主人公の心情や姿が書かれます。

 ずっと主役にスポットライトが当たり続ける状態に近かった。



 主人公の言動に、読者が「なんで、こんな事するのかわからない」といった乖離かいりは存在しないんです。というか、読者が主人公の言動に???と、なったら、アウトです。

 BLでは、読者は主人公に読んでいますので、主人公の心情に?マークがついた時点で、なりきれなくなってしまう。

 読者は一瞬で夢から醒めた感覚に陥ってしまうでしょう。


 もし、ここまで書かなければのであれば、私のBLは、心理描写が全然足りていなかった。


 Web小説では文学のように、主人公の心情を地の文や言動で、それとなく匂わせたり、行間ぎょうかんでもって読み取らせる。推測させる。

 主人公の今の気持ちをもらおうなんて、読者にさせてはいけません。

 負担させてはいけないと言ってもいいでしょう。


 Web小説では主人公の心情は、筆者が余すところなく書くべきことです。

 それなのに私は書いていなかった。私は読者に心情へのことこそ、小説の醍醐味だいごみだと勘違いしてました。


 これらの学びを生かして書いたBLが、『皇帝にプロポーズされても断り続ける最強オメガ』です。

 BLの読者ではない方には、なんのこっちゃのタイトルです。

 BLが好きで、読み続けて下さっている読者様には、タイトルだけで小説の内容がわかる工夫をしました。内容=タイトルです。


 20万字書きましたが、BLには必須のエロシーンはキスぐらい。

 現在のPV数166,638 ★331


 カクヨムではBLのジャンルすらない中で、奮闘しました。エロなしで。


 最初はエブリスタで連載しました。

 エブリスタでは、BLジャンルで1位を獲得。

 私の勝手都合でカクヨムに移行してしまいましたが、大変ありがたいことに、カクヨムでも読み続けて頂けました。

 はたしてそれは、なぜなのか。

 


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