第四章 紙媒体脳でWeb小説を書く

第1話 心理描写が足りてない?

 この創作論の『文学は読者から微妙に距離をとる』と、題したページで、Web小説を読み慣れた人にとって、文学は『よそよそしく』思えるんじゃないかと、書きました。


 そして、それを立証するかのように、このページは、他のページに比べてPV数も少なかったりします。

 わかりやすい。

 ラノベのWeb小説投稿サイトで書いてるんだから、文学について語られてもという、戸惑いも感じます。


 Web小説の方が身近だという人にとって、Web小説は彼氏または、彼女。

 文学は、同じ学年だけど違うクラスの人ぐらいの立ち位置でしょうか。



 その、Web小説と文学におけるポジションの違いは、読者の方にだけではなく、あるということを、これから書こうと思います。


 私は、おもにBL小説を書いています。

 BLは総じてライトノベル、Web小説だというのが私の考えです。


 ですのでネットでの公募なら、書き方も文学ではなく、Web小説仕様がBetterでしょう。

 でなければラノべのプロには、なれません。

 たとえWeb経由で書籍化されても、文学めいたBLは、おそらく売れない。


 だって、BL読者は文学を求めていないから。


 ですが、私は小説はWebではなく、紙媒体で読みたい人間。


 そんな私が、どうしてWeb小説のBLを書いているのか、疑問に思われる方も、いらっしゃるかもしれません。

 それは、ここでするべき話の主旨から逸れてしまいますので、省きます。


 ただ、そういう私の紙媒体仕様脳で、Web小説を書く。


 その切り換えの大変さといったら、もう。

 決して大げさではなく、血反吐を吐くような試行錯誤がありました。

 そして、その格闘は現在進行中であり、だからこそ、この創作論は自分に書き与えようとしている『紙媒体仕様の前頭葉でWeb小説を書く』。

 そんなハウツーものでもあると、思っています。


 まず、最初に紙媒体仕様の脳がぶち当たった壁は、Web小説特有の、主人公の方法です。

 どうやら、文学とWeb小説では、心理描写の書き方が違うらしい、と気がつくまで、3年ぐらいかかりました。


 BL小説を投稿し、編集部から批評を頂く。

 すると、必ず「心理描写が足りない」という指摘を受ける。

 ものすごく悩みました。

 どうも描写が「できていない」のではないらしい。なのに「足りない」と、言われてしまう。

 できていないと、足りないの違い。それは一体何なのか。



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