(第11話)きっと偶然

「告白はなかったかもですが、兄さんのフェロモンにあてられて、ちょっかいをかけてくるメスどもおんなのこはいませんでしたか?」

 美咲は、本当に心配そうに、僕に聴いてくる。


 確かに、今日は、クラスでも美少女として有名な天乃さんから、何度か話し掛けられたけど、たぶん偶然だろう。天乃さんは、気さくで、誰とでも仲良くしているからね。ここで『そういえば、天乃さんから何度か話し掛けられたよ』なんて言ったら、ややこしくなりそうだ。


「特に、今日は何もなかったよ。」

 そう答えたけど、美咲は、まだ、眉を寄せて、心配そうにしていた。


「私以外と浮気するような暇はありませんからね。覚えていてください。」


「覚えておくよ。」


「あと、今日は、部屋までお姫様抱っこでベッドまで運んてくださいね。」


「もちろん。」

 そう答えると、ようやく美咲は笑顔になった。


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兄さん。私、サキュバスになりました。 伊勢介朱史 @ISEKAIAKESI

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