詩『ラムネ』

あの時君だけが輝いて見えた

自分の中で何かが始まったような気がした

その予感は嘘じゃなかった

心の中で何かがしゅわしゅわ弾けた


会えるかな

会えなかった

いや、会ってもどうしたらいいか分からないけど

会いたいな

会いたいんだ

本当の音のガラス玉は瓶の中


しゅわしゅわ湧き出るような爽やかさ

それに伴うほのかな甘酸っぱさ

しゅわしゅわ弾けて 心も弾んで

目の前に炭酸が広がる


しゅわしゅわ湧き出るような爽やかさ

ほんの少し舌に残るほろ苦さ

どれも忘れちゃいけない感覚で

やっぱりラムネは恋の味なんだ


あれからラムネばかり飲むようになった

爽やかな風 何故だろう 吹き抜けたような気がした

その予感は嘘じゃなかった

季節外れのラムネ 放課後の教室


話せるかな

話せなかった

いつも君の隣にいるのは私じゃないけど

話したいな

話したいんだ

ガラス越しの声 小さな泡が邪魔をする


しゅわしゅわ湧き出るような爽やかさ

それに伴うほのかな甘酸っぱさ

しゅわしゅわ弾けて 心も弾んで

目の前に炭酸が広がる


しゅわしゅわ湧き出るような爽やかさ

ほんの少し舌に残るほろ苦さ

どれも忘れちゃいけない感覚で

やっぱりラムネは恋の味なんだ


私はラムネをこんなに好きだっただろうか

気付いちゃったんだ

いや本当は気付いていたんだ

ラムネが私にとって特別なんじゃなくて、君が私にとって特別なんだってことに


キラキラ眩しすぎるよその姿

息つぎするのも忘れちゃいそうだ

しゅわしゅわ弾けて 溢れ出しそうで

思わず君を呼び止めた


こんなに好きなのに伝えられなくて

ラムネを一気に全部飲み干した

取り出すことのできないガラス玉

やっぱりラムネは恋の味がした

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