第4話 『リノとヒナとオナカボン』
リノとヒナとオナカボン
岩瀬たかし
私が生まれて目を開けた時、オナカボンがいた。
私を見ているパパとママとバッちゃん、そして、オナカボン。
私の名前は、リノ。
本当は、リノアって言うの。
私の妹は私のことネエネっていうのよ。
●サイクルロード
鯉(こい)のぼりがなんびきも泳いでいる大きな遊園地。
パパとママとバッちゃん、そして、もちろんオナカボン。
頭の上で何台も動いているサイクルロード。
「リノちゃん。5才だから乗れるよ。」
オナカボンといっしょに乗って、
「シュッパァ〜〜ツ!」
「リノ、ペダルに足が届かない!」
「オナカボンがいるから、大丈夫!」
ところが・・・
「わあ〜〜、オナカボンはお腹でつまって、ペダルこげない!」
「たいへん!後ろが何台もつまっているよ。」
「リノちゃん、何とかがんばろう! ウ〜ン!、ウ〜〜ン。」
何とか二人で協力して、動き出したよ。
ママたちは下から見上げて笑っていたよ。
・・・・・・・・・
私の名前は、ヒナ。
本当は、ヒナノっていうの。
ネエネと同じことをしたい時、「ヒナも」って言っていたら、オナカボンが私のことを「シナモン」って言うようになったよ。
●オナカボンのカタパルト
ネエネの幼稚園。音楽発表会。
パパとママとバッちゃん、そして、もちろんオナカボン。
ネエネといっしょに帰るので、ブランコに乗って待っていたよ。
「シナモン、なかなかこげないね。オナカボン・カタパルトしてあげるよ。」
オナカボンが私の前にしゃがんで、言ったよ。
「オナカボンのお腹に両方の靴(くつ)のうらをくっつけてごらん。」
・・ボーン!・・・
ブランコが動き出したぁ!
・・ボーン、・ボォーン!・、ボォ〜〜ン!
パパの目の高さまで上がったよ。
「クフッ」・・・
「アハハァ〜〜!」
パパたちが下で笑っていたよ。
●オナカボン・ジェットコースター
今日は、ジッちゃん・バッちゃんのお家で夕食会。
お絵かきしたあとでオナカボンが言いました。
「リノちゃん、シナモン、今日は『オナカボン・ジェットコースター』しよう。」
「それなぁに?」
「リノちゃんたちのパパとパパの弟が幼稚園の時に乗った、二人乗りジェットコースターだよ。」
オナカボンのおひざの上にかけ布団をしいて、まず、リノそしてシナモンがすわりました。
「それでは、頭の上に布団の半分をかけてください。」
「かけたよ」
「カッチャ〜〜ン!、安全ベルト確認!」
オナカボンの大きな両うでが私たちをしっかり守ってくれたよ。
「シュッパァ〜ツ!」
ガタンガタン・・・、ジェットコースターが上に登ってゆく。
「注意!、急降下(きゅうこうか)、始め〜ェ!」
ブィ〜〜ン、ギュイー〜ン!、ガタ、ガタ、ギュギュギュイー〜ン!!
「アッハハ、ワー〜!、キャーッ〜〜!」
思いっきり、右や左にガーブして、私たち、振り落とされそうになったよ。
・・・
「はい、到着しました。あぁー〜、疲れたぁ〜〜。冷たい水くださ〜い。」とオナカボン。
バッちゃんたちが、キッチンで笑っていたよ。
・・・・・
私たちも、キッチンでお手伝い。
バッちゃんが言いました。
「お夕食の準備できたよ。リノちゃん、ヒナちゃん、ジッちゃんにも言ってきて。」
リノとシナモン、ジッちゃんのお部屋に行って大声で叫びました。
「オナカボ〜〜ン、ご飯できたよ〜〜ぅ!」
おしまい
(2019年)
ーーーーーーー
さて、「オナカボン」とは、誰でしょう?
「ジッちゃんのおなかどうして大きいの」答えにつまる我オナカボン
風讃
*NHK学園 「伊香保短歌大会」入選作品・平成30年(2018年 6月11日)
クヌギの森の子どもたち 岩瀬たかし・岩瀬橡三 @Iwase-Syozo
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