第3話 逃亡開始
カイは、今いるオーマ強制労働工場から逃亡する事にした。カイはオーマとなって5年目からオーマのプログラム作成担当を任されていた。人間が作った要望書を元にAIに学習内容をインプットする。AIは何度も自己学習を繰り返し、要望書に最適な電気刺激プログラムを提案する。カイは要望書をAIへインプットする過程と、AIが提案するプログラムを確認・修正する作業をさせられていた。
思い返すと、カイと同じように若いオーマが、プログラミングを受け持っていた。オーマになる人間の殆どは、成人後強制的にオーマにさせられ、数年で動かなくなる。オーマになる時点で、脳機能の低下や持病がある人間が多く、高度処理能力が必要なプログラムを請け負う事ができない。若く健康な脳があるオーマ達が適任として選ばれたのだろう。
ここは、カイがプログラミングしたオーマ達で溢れている。
目が覚めたカイは、オーマ強制労働工場のメインAIルームへ向かった。
気付かれてはならない。
カイは、誰にも見つからないように移動する。
廊下の向こうを歩く人物の足跡が聞こえてきた。
カイは、柱の陰に隠れ、息をひそめる。
歩いてくる男性は言った。
「それにしても楽な仕事だな。オーマが全部働くし、その様子を眺めていればいいだけなんて。」
もう一人の男性が言う。
「今の世の中。どの仕事も、そんなものだろう。最近はプログラミングするオーマもいるからな。遊んで楽しむことが重要だよ。」
「「ハハハハハハ」」
男達がいなくなってから、カイは柱の陰から出た。
目の前には暗く長い通路が永遠に続いている。
世界から、排除されたオーマ。だけど、俺は生きている。ここにいる。俺はあいつらの為に生きているわけじゃない。俺の為に生きている。
足音を立てないように、メインAIルームを目指す。
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