百二十六話:


「はぁ、はぁ……シンク、後で話しがあるわ?」


 『ブラックホーンシャドウ』から解放されたミサから怒りのオーラを感じる。

 兎型ヘルメットをフルフェイス状態にしているので表情は見えないが。


「……お揃い、いいな」


 ぴったりと腕にくっついて胸を押し付けてくる玉木さんが呟いた。

 フェアリードレスの生地が薄いせいもあるけど、『ブラックホーンオメガ』もピッチりとしたバトルスーツなので感触がダイレクトに伝わってくる。 なんなら肌の温かさも。

 それでいて防御面は大幅に強化された。

 それ以上に攻撃面でのアシストが凄い。

 まさかあのクラスの怪物を一撃で倒せるとは思わなかったな。


「ミサちゃんのスーツもカッコいいわ、兎型のヘルメット可愛いし、いいわね!」 


「……ありがとうございます、玉木さん!」


 バトラータキシードにはだいぶお世話になったな。 これからも普段使いではお世話になるか。

 密着している玉木さんの体温が上がってくる。

 上目遣いで笑顔を向けてくる空色の瞳と目が合う。

 可愛い。

 

(なんだ……?)


 バトルスーツが漲る。

 『ブラックホーンオメガ』もやはりSPがいるのだろうか?

 まだ隠れた性能を秘めているのだろう。

 あと凄い、ムラムラする。

 まるで処女を散らせと煽るようにギンギンになってきた。

 これはイカン。


「ん……シンク、君?」


 玉木さんの腰に手をまわし引き寄せる。

 この場で押し倒して……。

 そんな感情に支配されそうになるが、思いとどまる。

 周囲からの怨念というか呪詛の言葉で我に返った。

 さっきの青年たちが血の涙を流しそうな勢いで睨んできてるぞ。

 すごい気合だ。なかなか見どころのありそうな連中である。


「もうシンク君。 ふふ、夜にね……♡」


 夜にナニするんですか!?

 というかこの装備、呪われてる?

 いや呪いではないか。 デメリット……も違う気がする。 ちょっといけない能力がついていそう。

 そう主に18禁が発生しそうな。

 ブラックホーンリアと一緒なら素材となっているブラックユニコーンの趣味なのかもしれない。



「鬼頭君!」


「!」


 久しぶりの木実ちゃんボイス。

 なんだか服装も変わっている。

 ぐうかわ。

 なんで巫女服なんだろう。 コスプレ?

 葵もフリフリの巫女服、魔法少女っぽいな。


「慎之介……また、無茶してない?」


「ううん。 大丈夫だよ!」


 大ピンチでしたよ、とは告げ口しない。

 おそらく周りから漏れて怒られるんだろう。


「ん、二人でお泊り、しかも2泊。 ギルティ」


「詳しく聞かせてもらおうかしら~?」


「ええええっ!?」


 ミサが連行されていった。

 まだこの後も狩りに行く予定なのだが、だいぶSPは満タンだから問題ないか。

 

「おかえりなさい、鬼頭君!」


「うむ」


 いやしかし、木実ちゃんの格好……可愛すぎんか?

 誰だ、こんな可愛い服を木実ちゃんにプレゼントしたやつは?

 絶対気があるだろ、許さんぞマジで。

 ちょっと目を離すとこれだ、油断できぬ。

 

「あのね、私、宮司になったの!」


「?」


 宮司ってなんだっけ?

 巫女とかの上位職だろうか。

 なるほど、領地の機能なのか。


「それでね」


 なんだかいっぱいお喋りしてくれる木実ちゃんぐうかわ。

 玉木さんもだったけど距離が近い。

 木実ちゃんについていくとなぜか校舎の中庭に立派な神社ができていた。


 清涼な空気が流れていて心が安らぐ。

 神社の効果か、はたまた木実ちゃん効果か。


「えへへ」


 少し休憩してからまた狩りにいけばいいかな。



◇◆◇



 雑魚を倒すように、一撃で絶望の怪物を倒した。


「あれが英雄なのか」


 東雲東高校で英雄とされている一人の人物。

 女神がメスの顔で腕を絡めている。


「いや、あれは覇王だ」


 世紀末覇者のように大型トライクから颯爽と降りてきた覇王。


「この世の女すべて手に入れようとしているに違いない」


 我らが超巨乳美麗エルフさん女神以外にも、スラリとしたSFチックなピチピチスーツの女性に、ロリっ子魔法少女、巨乳美少女聖女とよりどりみどりだ。

 

「「「っ!?」」」


 見せつけるかのように超巨乳美麗エルフさん女神を抱き寄せた。

 その欲望に満ちた体躯は今にも女神を喰らおうとしている。

 

「「「ぐぅううう!!」」」


 睨みつけることしかできない青年たちは唇を噛み締め誓う。


「俺たちだってもっと強くなる!」

「ああそうだ、絶対に強くなるぞ!!」

「女神は渡さないッッ!」


 欲望に満ちた女神青年団の結束は強まるのだった。




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