Follow the Shadow ~the Reality~

ヘルニア

第1話

「コーネリアス様、この資料はどう処理致しましょう?」

「うむ、そうだな。このグラフを強調してくれ」

「かしこまりました」

何人かいる側近の1人の藤々(とうどう)に指示を出す。私、コーネリアスはこの独裁国家ファンクの元首、実質的なトップである。今日も部下をどう配置するか考える。

「サンデル、この資金を元手にある程度増やしてくれ。方法は任せる」

「OK、コーネリアス。任せな」

サンデルは私の旧友、今は側近の1人として活躍してもらっている。私と唯一タメ口で話す人物でもある。

「なあ、コーネリアス。ちょっと疲れてないか?少し休んだらどうだ?」

「いや、大丈夫だ。このまま仕事を進める」

「まあ、無理せずにな」

サンデルの心配は無用だ。私の体は健康そのもの、裕福だからと言って野菜を食わないわけでもない。食生活にも気をつけている。

「なあ、ここ最近の反乱因子はどうだ?何か目星は付いたか?」

「サンデル、特に奴らに動きはない。恐らくは、、、」

「ファンクでの生活が快適すぎて、もう反乱を起こす人間なんていないんじゃないんですか?」

「ミーク、お前は楽観的すぎるぞ。敵はどこに潜んでいるか分からないからな」

「えー、そうですか、元首殿?このファンクは至って平和ですよ!」

確かに反乱軍が構成されたこともあったが、これは動きを見せる前に見つけ出し、解散に追い込んだ。それを考えると、どうしてもミークのように楽観的にはなれない。

「元首殿、あんまり悩まれますとシワが増えちゃいますよ〜」

「おい、ミーク。仮にもこいつは元首だぞ?もうちょっと敬っても、、、」

「いや、構わない。これがミークの長所でもあるんだからな」

「やりました!元首に褒められちゃいました!」

「ははは、、、」

ミークの気楽さはわずかな時間だが私を和ませてくれる。日々の酷な環境から一瞬だけ抜けられた感じがするのだ。

「ミーク、ありがとう」

「?私、何もしてませんよ?」

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