第2話

「えー、我が国ファンクはこの沈まない太陽の謎を解き明かすべく、調査隊を何度か派遣しましたが、いずれも失敗に終わっています」

ファンク史の授業は退屈だ、今更ファンクの歴史を知ったところで何になる?俺、藤々陸(とうどうりく)は今日も今日とて平和な学校生活を送っていた。


昼休みにて、、、


「おうっ、りっくっ!飯、食いに行こうぜ!」

「照か、、、」

俺に馴れ馴れしく絡んでくるこいつは輝羅照(きらてる)。俺と同じ、高校2年性だ。

「沈まない太陽って当たり前だけど、どうやらそうじゃない世界もあるって噂だぜ!」

「照、どうせそんなの御伽噺だろ。信じるだけ無駄だって」

「えー、そうか?俺はロマンがあって良いと思うけどな!」

たわいも無い話をしているうちに食堂についた。

「今日の俺はカレーの気分だな。陸、お前は?」

「うーむ、、、塩ラーメンかな」

俺たちは昼食を食べ、午後の授業に臨んだ。


放課後、、、


「ただいまー」

「おお、お帰り、陸」

俺を出迎えてくれたのは父親の幹(みき)。独裁国家ファンクの重役である。

「親父、今日は帰りが早かったんだな」

「ああ、元首の計らいでね。もっと家族と一緒に過ごしてほしいってさ」

「へえ、ファンクのトップも意外と気が利くんだな」

「ああ、独裁国家とは言っても、ファンク(ここ)は平和だよなー」

俺も同感だった。独裁国家はそのトップ、独裁者の裁量で国の良し悪しが決まる。恐らく現在のファンクの元首は優秀なのだろう。戦争もなく、話し合いで仲裁をする。テレビのニュースや学校の授業でそういう情報は知っている。

「聞いたこと、あまりなかったけど、親父から見て元首はどういう人なの?やっぱり真面目?」

「うーむ、そうだな、俺の主観だが結構真面目だと思うぞ。ファンクのあらゆる運営の情勢を全て把握しているし、常人には出来ないだろうな。才能もあるし」

「ほう、親父にここまで言わせるってことは相当な天才肌なんだな」

「そうだ、話は変わるが今日はチャーハンを作ったんだ。期待してくれ!」

俺は風呂に入り、親父と一緒にテレビを見ながらチャーハンを食べていた。

「ファンクの元首、こういうテレビ番組も許可してるんだろ?自分に不利な情報を発信するニュース番組とか討論番組にも寛容だよな?」

「ああ、彼にもそういうことを話したこともあったが、あくまでも数ある意見の一つとして受け入れているそうだ」

俺たちはテレビを見ながら夕食をたいらげ、眠りについた。


「うーむ、、、」

俺は沈まない太陽の下でベッドに横になり、過去を回想していた。数年前、死にかけのところを偶然親父に拾われ、それからはこの家で生活している。親父曰く、俺の見た目は俺を拾ったときから変わらず、少年のままらしい。だが、少なからず俺の周囲でそれを不審がる人間はおらず、至って俺は平和に過ごしている。拾われる前の記憶はない。だが、そんなことは思い出さなくて良い。今が幸せなら、それで、、、いや、本当に幸せなのか?本当に、これで、、、


「うー、、、」

この沈まない太陽にはいつまで経っても慣れない、、、もしかして俺は、照の言っていた、こことは違う世界から来たのか?それがあり得るとしたら、俺って、、、

いくら悩んでも結論は出なかった。結局その日は2、3時間ほどしか眠れなかった。

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