第27話 出兵準備!
──魔王国の使者が去った後の王室にて
「ハッ戦うだと……君! 自分で何を言っているのか分かっているのか!」
ゴーラ国の首脳陣の一人、サミュエル大臣が拳に対して呆れと怒りの混じった声色で問いただした。
「おぅ、分かっちょるよ! それがどうしたんじゃい!」
「戦争になるかも知れんのだぞ……」
「……戦争……か、それは嫌じゃな……」
「君が仕掛けたんだぞ!」
「……フン、確かに仕掛けたのはワシじゃ! 責任はワシが取る!」
「拳さん……大丈夫ですか……スミマセン……やっぱり部外者の拳さんに頼むべきでは……」
「…………ヘッ、別にサンディやこの国の為だけじゃないわい……」
「え!?」
「よーし! 善は急げじゃ、サンディ! ワシは今すぐ日本に帰る! 準備をせぇ!」
「え!? あっはい!」
王室を出て、ゴーラ国と魔王国の戦闘に参加する兵隊を集う為、拳は日本に帰国した。
日本に帰るともう日が沈みかけた、夕暮れ時であった。
「はぁ〜こりゃ志願兵を募るんは明日じゃな……サンディも明日またこんかい」
「は、はぁ〜わ、分かりました」
「あ〜それとな」
「はい?」
次の日、獄門高校と鬼嶋率いる髑髏ヶ峰高校の全生徒が拳の号令のもと、夜に学校の校庭に集められた。
「おい、今日の話ってなんじゃ」「さぁ〜ワシはなんも聞いちょらん」「それにしても、なんじゃ? アイツらは変な服着ちょるが、外人さんかのぉ」
「鬼嶋、…………恩に着るワイ」
「……借りじゃぞ」
(フゥ〜なんとかなったけれど……んもぉ〜拳さんは本当に強引なんですから……)
──昨晩
「な、なんですか?」
「明日、とりあえずワシんとこの生徒とあと鬼嶋んとこの生徒を全員異世界に連れて行こうと思うんじゃがいけるじゃろ?」
「そ、それって……何人ぐらいになりそうなんですか……」
「う〜ん……ざっと五百人ぐらいじゃ」
「無理です!」
「ハハハ……何もサンディだけでやれとは言っちょらんじゃろう」
「え?」
「これは、一国の問題じゃろう? サンディみたいな力を持った人間を片っ端から集めりゃ出来るじゃろ」
「わ、私がやるんですか?」
「サンディは、自分の国を守りたいんじゃないんかい?」
「……そうです」
「なら、自分でも動かにゃ……腹括らんね」
「わ、分かりました……やってみます」
「おぅ! 頼んだわい」
──ゴーラ国
「あのスミマセン、キーユ隊長に会わせてください」
サンディはキーユに会うために親衛隊本部に足を運んでいた。
「今、手が空いているか分からんが少し待っててくれ」
──10分後
「待たせてスマンなサンディ、もしかして、拳の事で訪ねてきたのか?」
「はい、拳さんがこれから五百人もの人間をこちらの世界に転生させろと」
「ご、五百人!? 相変わらずメチャクチャな事をする奴だな……」
「まぁ……拳さんはあまりこちら側の常識があまり通用しない人ですから……」
「……ちなみに、五百人も連れてきてどうしようと言うんだ」
「えっと……志願兵がどうのと」
「志願兵か!? 拳のような奴らが五百人もいれば相当心強い!」
「し、しかし私だけの力では一気に五百人も転生はとても無理ですので……キーユ隊長、お願いします! 転生の能力を持った方を大至急集めてください!」
「ヨシ、私に任せなさい!」
こうしてキーユは、日本から五百人もの人間を一気に転生する為の能力者をゴーラ国及び内通者を通し、一部で魔王国に反旗を翻そうとしている、近隣諸国への要請により転生能力を持った者を15名ほど召集した。
「キーユ隊長、そして、能力者の皆様、本当にありがとうございます!」
「なに、俺たちも魔王国の事はなんとかしたいと思ってたんだ」
「こんな事で良かったらいつでも協力するわ」
「みなさん……では参りましょう!」
──明朝、日本
──ダンダンダンダン
「お〜ぅ誰じゃい、朝っぱらから……なんじゃい?」
「よぉ、ちょっとええか……」
拳は朝日の出かかった明朝、鬼嶋の自宅を訪れていた。
ゴーラ国と魔王国の話をする為に拳は鬼嶋を近くの土手に連れ出した。
「ホレ」
拳は学ランの内ポケットからタバコを一本取り出して鬼嶋に渡した。
「なんじゃい? 気持ち悪いのぉ」
「まぁまぁ」
拳は鬼嶋の咥えたタバコにマッチで火を点けると、もう一本タバコを取り出し、自分も吸い出した。
「スゥーーハァーー……なんじゃいこんな所に呼び出して」
「……この間、異世界っちゅう所へ行ったじゃろ?」
「……おぅ、それがどうしたんじゃい?」
「それがのぉ…………」
「なんじゃい?」
「スゥーーハァーー……」
「はよ言わんかい!」
「……戦争になるやもしれん……」
「はぁ? どういうこっちゃ?」
「それがのぉ……」
────
「それで、まさかとは思うが……その戦争に協力しろと、うちから兵隊を出してくれと?」
「…………」
「アホンダラ!」
──ボカン
鬼嶋が拳の左頬をおもいっきり殴った、が、拳は少しよろけたが何も反応を示さぬまま、ただ目の前に流れる水面を眺めるだけであった。
「オドリャ! 自分で何を考えとるんか分かっちょるんか! そんな少し関係を持っただけの国の為に……安請け合いも大概にせぇ!」
「まぁ……そうなるはな……自分でも大馬鹿やと思うわい……」
「おぅ! オドレは大馬鹿じゃ! そんなもんワシらには関係ないじゃろうが!」
「……ワシ、目の前で泣かれたんよ女に……泣きながら頼まれたんじゃ……なんとかしてくれ言われて」
「……ゴーラ国の人間は、戦争を望んでなかったんじゃろう、だったらそのままでええじゃないか」
「ホンマににそのままでええんか?」
「……」
「無論ワシも最初はそう思った……でもそれと同時にホンマか? ホンマにそれでええんか男虎拳……と、もう一人のワシが語りかけてきよった」
「……」
「……そのもう一人のワシがまぁしつこいんじゃ、ホンマか? ホンマに放っといて後悔せんのかと」
「……それで出した答えがそれか」
「……」
「……全員参加っちゅう訳にはいかんぞ」
「……鬼嶋?」
「事情を話して行きとうない奴は行かせん、それでええな? ま、いきなり異世界なんぞの話をされて信じるもんがいるか分からんが……」
「……協力してくれんのか?」
「……さっきからしつこいんじゃ」
「?」
「もう一人のワシが……」
───現在、日本
「鬼嶋、そっちは何人ぐらいおるんじゃ?」
「ざっと二百人ちょっとじゃ、まぁ二割ぐらいじゃな……そっちは」
「似た様なもんじゃ……」
「拳さん」
「おぅサンディ」
「準備ができました」
「ヨシ、オドレら〜〜〜〜〜聞いてくれ!!!」
『!?』
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