推理出来たのに推理を披露できないんですが!?
タカ 536号機
推理もテレビもインパクトが大事だよねby黄昏た巣内
どうも、こちら
何故そもそも僕がこんな所にいるかというと僕が名探偵でこの事件を解決すべく呼ばれたからです。ちなみに
「師匠!師匠!謎が解けたんですか?どうなんですか、師匠!」
僕の周りで飛び跳ねているのは僕の弟子である、キャン・ドウスーだ。ちなみに彼は日本育ちなので日本語は問題なく話すことが出来る。
「あぁ、解けたよ。今からは種明かしの時間だ」
「やっぱりですか!それで刑事さんにこの屋敷の人を大広間に集めるように頼んだんですよね」
「そうだよ。キャンも中々分かるようになってきたじゃないか」
「師匠のようにみんなの前で推理を披露するのが夢です」
えっ?何?推理する時に別に全員集めて推理する必要なくないって?
探偵はそういうものなの!いちいちそこにツッコミを入れるんじゃないよ!
読者の皆様はキャンを見習ってください。
そして、僕を尊敬してください。
そして、僕に金をください。
以上心が綺麗な名探偵 巣内でした。
「師匠、一人で何ぶつぶつ言ってるんですか?」
「お前には見えないのか?すぐ目の前にいるだろう?」
「いや、目の前に人いませんよ!大丈夫ですか?師匠!」
「さあ、そろそろ真相を伝えるかな」
「無視しないでください!!」
ふむ、ようやく全員揃ったようだ。
「さあ、皆さま集まって頂きありがとうございます!真相解明のお時間といこうではありませんか」
「全員を集めろとの話でしたので私のポニーちゃんも連れてきたのですが良かったのですか?」
そう言った女性の隣に可愛らしい犬が、あれがポニーちゃんか?まあ、犬がいたところで変わらないし。可愛いし。
「ええ、勿論良いですよ」
「聞こえてないフリしないでください!」
チッ、キャンの野郎がうるさいな
「聞こえていませんよー。さて、そもそも今回の事件ですが」
「 おい、聞こえてんの分かってんだぞ!」
「さて、私の弟子の戯言は無視していただいて、真相を伝えましょう」
「戯言って言ってんじゃん!聞こえるって認めてんじゃん」
「....さあ、推理を披露してさしあげましょう」
「無視すんなー!!」
「今回起きた事件は三つです。そして、それぞれの謎を解明していくと自ずと犯人がわかってきます。犯人は相沢 友彦あなたですね?」
「っっっ!!!」
明らかな動揺、トリックは見事だったと言うのにメンタル面はそこまでじゃなかったな。
「な、何を証拠にそんなことをい、言ってるんだ!」
「そんなに欲しがるならあげましょう。皆さま推理のお時間です」
大広間にいる人達が息を飲むのが伝わってくる。
あぁ、いいなー。これをやるためだけに探偵になったと言っても過言じゃないくらいこの瞬間がたまらん!
明日の新聞の一面は僕で決まりだな。
「まずは______」
「まずは第1の事件からです。そもそも、第1の事件は当主である腸内 腸ノ助さんが殺された「腸内当主密室殺人事件」が始まりでした」
えっ?なんか、キャンが急に話始めたんだけど!?えっ、僕が今から話すんだけど!?
えっ、てかみんなもゴグッって顔してるし、ツッコミづらい!しかも、弟子の晴れ舞台だし師匠としても邪魔しづらい。くそ!
「当主である、腸ノ助さんは一階の自室で死んでいるのが発見されました。腸ノ助さんの部屋には窓などもなく、扉も閉まっていました。そこで、この事件は密室となり捜査は難航することとなりました」
くっそ!!僕が推理披露したけど、初めての弟子の晴れ舞台だから邪魔しずれぇ。
ま、まあ、第1の事件は足掛かり的な所あるから譲ってやっかな。僕、師匠なわけだし。
「しかし、我々は密室に囚われ凶器について詳しく追求しませんでした。犯人の狙いは凶器を分からなくすることにあったと考えられます」
しかも、完璧じゃん。僕が考えてたのと同じじゃん!邪魔するわけにいかんじゃん!
その後も完璧な推理が語られ....。
「以上で第1の事件は終わります」
ま、まあ、第1の事件だけじゃ確定出来ないから....第2、第3が本番だからね!
「コホン、では第1の事件は私の優秀な弟子が説明してくれたので次は第2の事件といきましょうか」
「し、師匠、何故そんなことを言いながら俺の口をガムテープで塞ごうとしてるんですか
やめて、や______モゴモゴ」
また、キャンに推理披露されたらたまったもんじゃない!
「さて、第2の事件ですが______」
「俺が俺が犯人なんですー!!」
はっ?何言ってんの?友彦?いや、犯人。
「第2の事件は勘違いで起こしてしまったんですうう!第1と第3の事件は恨みがやったので後悔してませんが第2は勘違いで殺ってしまったんですうう!」
おい、ちょっ待て!
「そもそも、第2の事件は_」
ふぅ、第2の事件の全容が語られてしまった。
し、しょうがないじゃん、犯人の自白タイムとか割り込めないし何か感動的なエピソードもあって僕もうるっと来てるわけで、そこに推理披露で割り込む余地なんてなかったんだよおおおお。
ま、まあ、第1、第2の事件は前座みたいなとかあるしね。第3が一番大事だから。
「さて、最後の事件にいきましょうか」
「た、探偵さん、何故俺の口を塞ごうとするんですか、やめて、や______」
友彦(犯人)の口も塞ぐ。念のためね?また、自白するかもしれないし。
「まあ、正直犯人が自白したので話さなくていいかもですが....皆さんが聞きたいのであればトリックと順序を説明してあげても構いませんよ?」
ふっ、みんな聞きたいに決まってる。さあ、頼むんだな。聞きたいっと。
『聞きたい』
そうだよね、そうだよね、うんうん。
じゃあ。
「最後の事件で_」
「最後の事件は次期当主の腸次郎さんが殺された事件でした、ワン」
だれだ!?今、僕の推理邪魔してきたの?
ったく、ここはさすがに僕も譲らないぞ?
そんなことを思いながら声の発生元を見る。
あれ?さっきの女の人の方からだな?
でも、あの人こんな声じゃなかったような....
隣にはポニーちゃんもいるけど、まさかね?
「ぽ、ぼ、ポニーちゃんあなた....」
「ごめんワン、腸女さん。僕、実は喋れるんだワン!きっと、喋ったら僕は人間達に実験されると思って言えなかったけど、貴方がとても最後の事件について聞きたそうだっから
つい....」
え?僕がちゃんと聞かせてやるつもりだったのに、何してんの?
*
「と言うわけで最後の事件はこんな感じですワン」
最後の事件も語られてしまった。
無理じゃん!無理に決まってるじゃん!犬(ポニー)が実験も覚悟の上で推理を披露してるのに邪魔できるわけないじゃん!
「以上で全ての事件はこれにて解決ですワン!ご静聴ありがとうございますワン」
*
どうも、あの事件から一週間が経ちました。
え?新聞はどうなったって?お前載ったかって?
載るわけ無いじゃん!「喋る犬しかも名推理」これが一面になるに決まってんじゃん!
キャンは何か第1の事件を推理したってことでちょろっとでてたけどさ、ズルくない!?
そして、一番辛いのはさ、
「どうも、よろしくですワン!今日から所長ですワン」
ポニーちゃんが僕の探偵事務所の所長になってることなんですけど!?
僕が所長だったんですけど!?ここ、僕の事務所なんですけど!?
政府の決定でポニーちゃんは実験するよりその推理力を発揮した方がいいってことで探偵事務所に回されたんだけど、ポニーちゃんの要請でウチの事務所の所長をやりたいってことで政府の命令で所長に。
僕の権利とかないわけ!?
しかも、ポニーちゃんも嬉しそうだし、キャンも新聞載れて嬉しそうだし、ポニーちゃんの飼い主もポニーちゃんが実験されず嬉しそうだし、僕以外ハッピーだから、僕も文句言いづらいし、本当にどうしたら良かったんですか?
ちょっと、泣いていいですか?
推理出来たのに推理を披露できないんですが!? タカ 536号機 @KATAIESUOKUOK
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