第4話 エピローグ
それからというものの……。
私は萌華ちゃんと友達になった。
ヘアドネーションで髪を切って数か月。
ややボブより短めだった私の髪は、ミディアム位に伸びていた。
「ねえ、なんで髪を伸ばしてるの?」
「どうして?」
「短い髪も可愛いな、って思ってたのから……」
私は萌華ちゃんの言葉に驚く。
「そうなの? 私、そんなに短い方が良い?」
「うん。だって、顔小さ目だから、短い髪の方が可愛いなって思って」
「ありがとう。でもね、私決めてるんだ」
「なにを?」
私は萌華ちゃんに笑顔を向ける。
「髪の毛を寄付する活動があるから、誰かの笑顔につなげたい。だから伸ばすんだ」
「じゃあ、もしかして……!」
「実はね、萌華ちゃんのウエーブの髪の毛、私のかもしれないね」
「そう思ってた」
萌華ちゃんは笑った。
そうだ、この笑顔だ。
私が見たかった笑顔だ。
無事に退院した萌華ちゃんは、少しずつ髪が伸びてきたいという。
医療用ウィッグは、時期に役目を終える。
「ねえ、私もね、決めたんだ」
「どうしたの?」
萌華ちゃんは笑顔だ。
「私も、あなたを見習って、可能な限り髪を伸ばすよ」
「そっか」
「それでね、私も誰かに笑顔を分けてあげたい」
「うん! 最高の考え!」
「だから、良い髪の育て方とか、アドバイスが欲しいな」
私は笑顔で、萌華ちゃんの手を取った。
「じゃあ、私がお世話になった従姉を紹介するわ」
「お願いね」
私たちは、美容師の従姉の元を訪れた。
従姉は、萌華ちゃんの考えを聞いて、すごくいい笑顔をしていた。
「この子からあなたへ、そしてあなたが他の人へ。ふふ、まるで幸せのバトンみたいね。もちろんアドバイスとか惜しまないから、いつでも聞きにおいで」
「ありがとう」
萌華ちゃんは笑顔で言う。
何年先になるかわからない。
けれど、髪を伸ばしておしゃれして……。
いろんなところへ出かけて。
いろんなものを見て聞いて。
そして、他の人の笑顔へとバトンを渡す。
「おしゃれって、楽しいね」
「うん!」
数年後、私は美容師の従姉の元を訪れた。
「ヘアドネーションに出したいから、カットをお願い」
「待ってたよ」
そこには、美容師と言う夢を叶えたあの子がいた。
「カット、私にやらせてね」
「お願いね。萌華ちゃん」
萌華ちゃんは笑顔で頷いた。
キミのための贈り物 金森 怜香 @asutai1119
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