第7話 江ノ島デート
【なんか海行きたいな〜】
【だよね。夏になったらそれはそれでいいけど、この季節だったらまだ人も少ないし。ねぇ〜、太一、海行こうよ〜!】
【まっ、いいかもな。明日、俺ら講義、午前だけだよな。じゃあ、昼に正門に集合ってことで】
【やったぁ〜!楽しみ!!】
昨夜、美依から来た甘々ラインに乗せられ、俺も結構甘々で返事をしていたところ、海行きたいなみたいな話になり…、で今に至るって訳だ。
俺は、二限目の講義が終わりすぐに正門に来て、美依が来るのを待っている。服装は色々と迷ったが、Tシャツの上にグレーのパーカーを羽織り、下は黒のジーンズにした。まあ、無難な所だろうなとは思うものの、俺ってほんと服がないんだなと思い知らされる結果にはなった。今度、買いに行った方がいいかな…。
スマホで、『メンズファッション』と検索をして、画面表示を押すとイケメン達がお洒落なファッションをしポーズを取っている画像が次から次へと出てくる。なるほど、これが今年の流行なのか…なんてついついスマホに集中していると、右袖をちょんと引かれ、驚いた俺は顔を上げた。
そこには、天使がいた……。
そう、言葉をなくしてしまうくらい可愛い美依がいた。
なに!?白の半袖タートルに薄いコート、しかもコートの裾から見えるのはチェック柄のミニだし。正直、女子力マックス状態じゃないかよ。それに、黒のミュールがとても似合っている。しかも、今日は化粧もいつもよりきっちりしているような…。
「ごめん。待たせて。行こっ」
美依は俺の方をほんの少しだけみて、ぐんぐん駅に向かって歩いて行く。
「おい、待てよ。そんなに早く行かなくても大丈夫だって」
「だって、中学の時、太一の起てたスケジュールが無茶苦茶で酷い目にあったもん。だから、今日は私が考えてきたから」
「はぁ!?それって…。普通は男がやることだろう?」
「だから、太一には任せておけないっていってるの!」
「なんなんだよ。折角、美依の喜ぶ顔を見たくて昨日寝ずにデートプラン考えたのにさ」
俺は、わざと小さい声でいう。すると、急にスマホが「ピローン」と鳴った。もしかして、まさか、美依か?今すぐ俺の目の前を歩いてるのに?ラインで返事を返すの?
【太一、ありがと。やっぱりそのプランで行きたい。…私】
くっ!!!!美依のやろう!!これを普通に俺に直接言えばいいじゃないか!本当に世話が焼けるやつだ。
【そうそう。それでいいんだよ。美依は俺の腕にしがみついていればいいから】
「へっ」
急に変な声を出したかと思うと、美依はいきなり全力で走り出した。
「おい!危ないって、走るなってば」
俺も美依を追って全力で走る。少しずつ美衣の姿が大きくなっていく。どうやら、走るスピードは俺の方が速かったみたいだ。中学生の頃は負けたこともあったけど…。
追いついた俺は、美依の肩を持つ。
その途端、ふにゃふにゃになった美依は、顔を真っ赤にして、俺に倒れこんできた。
「美依!大丈夫か?」
「・・・・・・・・」
次の瞬間、「大丈夫に決まってるでしょ?ほら、太一、行くよ。もう遅れちゃうじゃない!」
はぁー。一体、俺はどんな役を演じているんだろう?今日の江ノ島デート、これって、超やばいかもしれない。
まあ、でもいいさ。俺は美依といると楽しいし、あいつの甘々ライン好きだし。会った時の言葉は尖ってるけど、なんとかそれを耐えれば、また甘々ラインが来るんだ。ふふ、それを励みに頑張ろう〜!
ん?ちょっと待て!?
俺の恋愛、変な方向へ向かってないか?
————————————
第七話を読んでいただきありがとうございました!
次回、「ロマンスカー」をお楽しみに!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます