人生ガチャ反省会

神城零次

創造神との邂逅

「というわけで君は死んだんですけど、質問は有るかしら?」

 何もない部屋というか何も無いので部屋と表現するのはおかしいが、自分が死んだという事実は夢ではない様だ。

「さっきから出てるこの変なステータス画面はなんですか?」

「それは転生前にあなたが自分で設定した人生ステータスですよ」

 体力96

 魔力10

 運46

 コミュ力10

 など、ざっと見ただけでも100以上ある項目に全てに数値が割り振られている。特に多い数字が46。0になっている項目は一つもない。

「魔力なんて項目がある事にビックリなのですが……」

「まあ、100にしないと魔法は使えませんからね」

「100にしてたら使えるんですか?」

「えぇ、運動会が雨になる魔法とか」

「それは雨男や雨女なのでは?」

「そうとも言いますね」

 なんと馬鹿げたステータスだろう。0でも良かった気がする。

「人生難易度って項目はなんですか?」

「精神強度に比例して人生が苛酷になる項目ですね」

「MAXに設定するバカは居るんですか?」

「社畜と呼ばれる方は大抵MAXですね。最近選ぶ人が多い気がします」

「……なんで私は死んだんですか?」

「寿命の欄に書いてあるじゃないですか」

 自分の死因の欄を見て思わず天(?)を仰ぐ

「リアルデスノート」

「面白いですよね、あれ。この世に死神なんていませんけど」

「居ないんですか?」

「昔の職業ですね。魂の農夫って呼ばれてデジタル化の影響で無くなりました」

 世知辛い。死んだ後も世知辛い。死神ですら職を奪われるとは……。

「私が恋愛下手なのはコミュ力が低いせいですか?」

「いえ、恋愛をゲーム感覚で捉えていたのが原因ですね。コミュ力以前の問題です」

 そう言われて頭を抱えるしかなかった。肉体は存在しないのであくまでも比喩表現だ。

「私の欠点を教えてください」

「個を曲げず、人の意見を参考にせず、友達にも心を開かず、自分の信念に固執しすぎたのが原因ですね」

「それがあの人生ですか……」

「最後は褒められもしない自己犠牲で死ぬとはお粗末様でした」

「とりあえず、次の転生は何時ですか?」

「丁度今の時期にぴったりなのがありますよ」

「なんですか?」

「セミです」

「……」

「これまでの人生を振り返りながら七年土の中にもぐって一ヶ月愚痴を言いまくるセミ生、人気ですよ?」

「じゃあ、それで」

「はい。おひとり様ご案内」

 こうして私はセミになった、幼虫の間、次に人間になった時のステータスを考えながら生きていくつもりだ。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人生ガチャ反省会 神城零次 @sreins0021

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ