後悔
クロノヒョウ
今、どうしてますか
出会ってからすぐに私たちは惹かれ合っていた。
すぐに話しも合ったしその時間が楽しくてたまらなかった。
一緒に過ごす時間も増えて、みんなで遊んでいる時は早く二人きりになりたくて。
彼が私を送ってくれる車の中。
「ちょっとドライブしようか」と言って真夜中の海を見に行く。
たくさん話してたくさん笑ってたくさんキスをした。
お互いに何も言葉にしなくても、好きだという気持ちは充分わかっていた。
そんな日々が一年近く続いた。
相変わらず彼は私に会いにきてくれる。
私もそれを楽しみに待っている。
会うたびにキスをする。
何も変わらない。
ただそれだけ。
きっと二人とも若かったのだろう。
言葉にするのが怖かったのだろう。
言葉にして何かが変わるのが怖かったのかもしれない。
お互いを縛り付けてしまうのが嫌だったのかもしれない。
好きで好きでたまらないのに、なぜか私たちはそれからだんだんと会わなくなっていった。
今でもよく思い出す恋。
後悔しかない恋。
どうして私たちは何も言葉にしなかったのだろうか。
あの頃、お互いに好きと言っていれば……。
たったそのひと言が言えなかった恋。
それが今でも私の心を苦しめる。
きっとこの何も始まらなかった恋の想い出が、これから先もずっと私の中に居座り続けるのだろう。
想い出の始まり。
それは何も始められなかった私の後悔。
完
後悔 クロノヒョウ @kurono-hyo
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