僕を慰めに来た友人が慰めてるのか追い討ちをかけているのか分からない!

タカ 536号機

あれ?僕追い討ちされてる?モテる僕に嫉妬?嫉妬なの?

ピンポーン 家のチャイムが鳴った。


「はーい、今でるよー」


僕は玄関に行きドアを開けると。


「ど、ど、どうも、こんにちは」


挙動不審な友人が立っていた。祐介僕の友達だ。


「何でそんなに緊張してるの?」


「いや、俺お前ち来るの初めてだし、こんなに立派な豪邸だと思ってなかったからさぁ、

緊張してな」


嘘だな、確かにうちの家は他の人の家と比べると裕福に十分入る部類だが祐介はそんなことを気にするやつじゃない。一体何に緊張しているのか知らないが....まぁ、いいか!


「あぁ、本当に緊張するぜ。後ろから急にグサリとかないだろうな」


緊張の理由はそれか。なんて、失礼な奴なんだ。


どのくらい僕がイラッとしたかというと

使用人に彼の背後から祐介の背中に向けトマトを投げさせて泣かせてやろうか?と考えたほどだ。


「まあいいや、とりあえず上がってよ。呼んだのは僕だし。」


「お、お、おう、し、し、し、失礼しまーす」


「いや、それは緊張しすぎだろう」


さっきから挙動不審すぎる。

祐介どうしたというんだ!


「そ、そ、それでお前は、は、話ってなんだよ?」


「なんで、そんなに祐介は挙動不審なんだ?

ここに来る前に人を刺したとか言っても疑わないくらい怪しいんだが」


「ば、ばか。人を刺したぐらいでこんなに挙動不審になるかよ!」


「まるで人を刺したことがあるみたいな言い草だな」


「いや、俺の犯行は完璧だからバレようがない!」


「今、お前罪認めだぞ。アホすぎるだろ」


「くっ、バレてしまった。くそ、捕まってなるものか!」


「逃すか!罪を吐いてもらおうか」


そう言って僕は近くにあった竹刀を構える。

僕は剣道部員で県大会で優勝もしている。

祐介に勝ち目はないだろう。


「じ、実は中二の頃家庭科の裁縫の授業中

自分の手を誤って針で刺したことがある!

お願いだ!わざとじゃなかっただ!許してくれ」


「....そっかそういや、お前そういう奴だよな」


「お、おいなんでそんな慈愛に満ちた顔で俺の肩をポンポンするんだ!?」


残念な奴だ。そこが可愛らしいポイントでもあるが。


「話を戻そうか?」


「ゆ、許してくれるのか?こんな大罪人俺のことを」


「そうだな、祐介が大罪人なら世の中の人全員極悪人だと思う」


残念超えてここまで来ると可愛く見えてくるから不思議だ。


「で?相談ってなんだ?」


「女子からモテすぎて困ってるんだ」


「嫌味か!?それは俺に対する嫌味か!?」


「今日も3人に告白されてしまった」


「ただの自慢にしか聞こえない!羨ましい!

羨ましいよー」


「いや、祐介はそうかも知れないが、僕に取っては胃が痛くなる原因でしかない」


「胃の病気なのか!?こんなとこいて大丈夫かよ!?病気いた方がいいんじゃないか?」


祐介....残念超えて可愛い奴。

めっちゃくちゃ僕の心配してくれた。こいつやっぱめっちゃくちゃいい奴だよなぁ。


「僕の場合は告白を断る理由が上手く浮かばず相手に辛い思いをさせちゃうんだ!

上手い告白の断り方を教えてくれ」


「お前彼女いない歴17年の俺になに聞いてんの!?」


そっか、つまりいたことがないんだね。

不思議とホッとした自分がいる。


「僕は彼女達のこと友好的な意味で好きだから告白されるたび友達が減って悲しいんだよ!告白断っても友達でいてくれるいい断り方を教えてくれ」


「「僕もあなたのこと好きだよ」とか?」


「いや、それオッケーってことじゃん!断ってないじゃん」


「はぁ、ワガママだなー」


「えっ、これ僕が悪いの!?僕なの!?」


「じゃあ「僕も君のこと好きだよ....

ただし友好的な意味でなぁ、はーはっはっは」とか?」


「祐介の中での僕のイメージそんななの!?」


ショックだ。めっちゃくちゃショックだ。


「じ、冗談だって!お前落ち込んでたから励まそうとボケただけだよ」


めっちゃくちゃ祐介が慌ててる。そんなに取り繕うほど本音だったのか?ショックだ。


「いい告白の断り方だろ?「今夜好きなアニメあるから無理」とか?」


「最低だよ!最低!この世で存在しうる告白の断り方の中で一番最低な断り方だよ!」


そっかこんなだから、祐介はそこそこイケメンで性格も良く運動もできるのに告白されないのか。こんな返しされるかもって思ったら中々できんよなぁ。


「あ、後「僕は実は地球を守るヒーローなんだ!だから、付き合えない。ごめん。あっまたドラゴンフォースに反応が悪い行かないと」とか?」


「本当にどんなイメージなんだよ!」


完全に高校2年生なのに中二病継続中の痛すぎる奴じゃないか!告白してきた相手も引くんじゃない?


「ていうか、そもそも告白されなきゃ万事解決じゃないのか?」


「確かにそれは盲点だった」


「そもそも、お前は何でモテるんだ?」


「告白される理由は「剣道の試合見てかっこよくて一目惚れでした。これ以上気持ちを隠し通すのは無理です。付き合ってください」

とかが多いかな?」


「うーん、剣道を辞める選択肢はないだろうし....試合中もっさりしたカツラを被ればいいじゃないか?」


「試合できなくなるだろ!」


「髪を切らずに伸ばすとか?」


「剣道はただでさえ暑いのにこれ以上暑くなったら倒れるよ!」


「たまに女子に襲いかかって評価を下げればいいんじゃない?」


「だから、どういう認識なんだよ!?」


「まあ、真剣な話するとさ」


「スルー!?スルーなの!?」


「相手も真剣にお前に想いを伝えてきてるわけじゃん?告白を上手く断るとか考えずさ、その想いに真剣に応えるのが一番だと思うよ?今までお前がしてきたみたいにさ」


「はあ、結局友達なくすしかないわけかー」


「安心しろって。お、お、俺はどんなことがあらうといっしょにいてやるから」


はぁ、何で本当にこいつはモテないんだろう?僕なんかよりよっぽどかっこいいのに。


「まあ、今日は相談に乗ってくれてありがとうね。本当、祐介には感謝してる」


「本当か?お前の役に立てたか?」


祐介はとても嬉しそうだ。本当にいい奴だな。友人のためにここまで必死になってくれるなんて。


僕は彼を見送りながら心の中で思うのだった。




「ふふ、役に立てたか、ふふふ」


相場 翼は気づいていない。


「しかし、「あいつ緊張してる」とか言ってたけどはじめての家に上がる上になんて緊張しないわけないじゃんかよぉ」


祐介の翼に対する恋心に。


「まあ、無理もないか!俺だけはあいつのそばにいれるように周囲のやつらにも俺の恋心はバレないようにしてるしな」


翼と祐介は気づいていない。


祐介が翼が好きだということはクラスどころか全校生徒にとって周知の事実だということを。祐介が一途なゆえ祐介に告白する無謀者は現れないないと言うかとを。

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