ワタリの会
「こんにちは」
「こんにちは」
大学近くのターミナル駅で待ち合わせた。白いシャツの上に大きなマフラーをぐるりと一巻きして、コーデュロイのズボンと合わせている。そして相変わらずその綺麗な顔は能面のように表情が動かない。
「ワタリであらせられる?」
「はい」
「初めて会った」
「まあ稀だよね」
どの位の頻度で渡るのか、その先はどんな世界なのか、誰に言葉を習ったのか——彼女も毎度ついた先は大抵同じ一つの家か、その付近だと言う。話は件のツイートに行き着いて、身体がどこから来るのか、受け入れる家の仕組みはどうなっているのか、考えてみたこともなかった様々なことが疑問になる。がすがすと頭を拭かれる感触を思い出した。
「でも絶対身体あるよね」
「あるある」
「次渡った時に聞いてみようよ」
「なんなら今から」
「今? どこで」
「カラオケとか行けば」
「よし」
必要性みたいなものに駆られて渡るのは初めてだった。着くなり小屋に駆け込む。
〈ねえ!〉
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