8章 甘美なる休息

「クロー、ただいま戻りましたー。」


「あ〜おかえり〜。お疲れ様。ちょっと遅かったね?」


本部に入るなり、一足先に仕事を終えていた戦闘班の面々が労いの言葉をかけてくれた。

やつれきっていたクローの顔に少し笑顔が生まれた。


「それが〜持ち場近くでこんなガキを見つけて〜、いろいろあって大変だったんスよ。俺はもう疲れて何も出来ないから後頼んだ。」


後ろから少女が顔を出すと、どんどん人が集まってきてちょっとした騒ぎになった。


「え〜何この子!?どこから〜〜〜」


クローは、もう限界だった。

後ろの声を振り切り、人の波をかき分け最短ルートでシャワーを浴び、上階にある自室の扉を開く。

そして、ベッドに倒れ込むと同時に、安らかに気を失った。









┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「おーい、おーい、クロー。起きてー?ノルグさんが呼んでるよー?」


「…ん…キマナか……ふぁぁぁぁー。俺、どのくらい寝てた?」


キマナと呼ばれたクローより少し幼く見える彼女は、宙を見て考える。


「えーっと、一昨日の日没辺りに帰って来たから〜。だいたい一日半くらいかな。」


しっかり眠れたことが確認できて、クローは感激した。


「で、師匠が呼んでるって言った?」


「うん、朝ご飯とか、諸々準備終わったらすぐ来いって。」


(何だろう。嫌な予感しかいない。実際女の子一人を丸投げにして勝手に休んでいたからな。だけど俺は全く後悔はしてない。死ぬほど疲れてたからな。)


「ありがとな、わざわざ伝えに来てくれて。」


「どういたしまして〜。久しぶりの休暇、ごゆっくり〜。」


キサナが出ていくと、クローはベッドからゆっくりと立ち上がった。

ベキッ!バキッと、全身から聞いたこともないような骨の音が響く。加えて筋肉痛が酷い。


(アイツ・・・のせいだ。)


一昨日出会った高圧的で、不思議な能力を使って自分の体の自由を奪った少女のことを思い返し、クローは腹を立てた。


着替えや洗面、階下での朝食を済ませ、『観測者長室』と書かれた部屋の扉を叩く。


「観測者見習いクロー。ただいま参りました。」


「おう、来たか。入れ。」


「失礼しまーす。」


部屋に入ると、この本部の観測者長であるノルグと、例の少女がソファーに腰掛けていた。


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その観測者、見習いにつき あおいろえのぐ @aoiroenogu

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