7章 正体

「感情を、いじった・・・・?」


「じゃあまず、お前をここまで引っ張った経緯から話そう。

私はどこかも分からない場所で、腹が減ったからとりあえず食事を取っていたところ、奥の方でウロウロしているお前を発見した。

そこで、お前の中の私に対する好奇心・・・を爆発的に増やし、体が勝手に私の方に向かって来るように仕向けたって言ったら、分かる?」


少女の少し複雑な返答を聞いて、眠気と疲れから気を失いたくなるが、悲しいことに瞼すら一ミリも動かなかった。

仕方なく頭をフル回転させて、言われたことを理解しようとする。


「……………たぶん…理解した。

確認のため聞くが、今お前が俺の動きを止めているのは、何かしら行動しようとする俺の中の感情・・をいじっているって解釈で間違いないか?…後もう逃げたりしないから、拘束解いてくれ。」


(コイツ…要点を捉えるのが早すぎる…ただのヘタレじゃないな…何者だ…?)


少女はクローの思わぬ理解力に少し目を見張った。


「おい、早く俺の自由を返してくれないか?」


「あっ、ああ。悪かったな。」


少女が若干慌てて拘束を解くと、クローはそのまま後ろに倒れ込んだ。


「アイテッ。…あー、背中が痛いよ〜。」


「私のこの能力についてだが、その解釈で問題ない。だが、普通はこんな簡単にはいかない。お前が弱りに弱っていたからできた芸当だ。」


(そーです。俺は疲れてるんです。

秒で帰りたかったのに、ふざけた道草を食わされています。)


「よし、それじゃあ俺はもう帰っていいよな〜?」


弱々しい声で、祈るように問う。


「まだ、最後の質問が…」


「あー、分かった。分かった分かった。続きはさ、あの〜本部で聞くから。ついてきて。ね?いい子だから?」


「なぜ、私がノコノコと貴様について行かなければならないんだ!」


(…あー死ぬ程ウザい。頼むから帰らしてくれ。逃げるのは不可能だ。かといって長い質疑応答はもう勘弁だ。)


一縷の望みをかけて、クローは少女に告げる。


「美味いもの、たらふく食えるぜ?」


「…案内しろ。」


(…チョロすぎる。偉そうにしてるがやっぱガキだな。)


「もちろんお前が今考えてることも把握してるが?」


「嘘です。すいませんでした。」





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