6章 ふーあーゆー?

「マズい。」


少女は一口頬張るごとにそう言いながら、決して次のキノコを取る手を止めない。

クローは状況を飲み込めないまま、ひたすら立ち尽くしていた。

というか、動けなかった・・・・・・

そして十分、二十分と時間が経ったあたりで、さすがに筋肉が疲労の限界を迎えたのか、クローはその場に尻もちをついた。


すると、ようやく少女の手が止まる。


「あんた、誰?」


少女に問われてクローは我を取り戻す。


「えーっと、君こそどこから来たの?」


(何だったんだ一体…今は自由に体が動く…それより、死ぬほど疲れてるのにこんなガキの面倒見れねーぞ。よし、見なかったことにしよう。)


「ごめんね、俺今忙しいんだ!じゃあね!」


そう言って本部の方角へ踵を返す。


「おい!待て!質問に答えろ!」


クローは後ろから投げかけられる声を無視して、今の自分にできる限りのスピードでその場を離れていく。


(今、お前に使える時間は一秒たりともねー。大丈夫、きっと他の奴が保護してくれるさ!)


しかし数秒後、吹っ切れた笑みを浮かべながら歩くクローの顔が再び歪む。彼の足はいつの間にか止まっていた。


「聞こえなかったか?…お前は誰だと聞いているんだ!」


(…まただ。体がピクリとも動かなくなった。もしかして、あいつが何かしてるのか?)


クローは舌打ちした後、少女に背を向けたまま答える。


「俺の名はクロー・スカイフォール。観測者見習いをしている者だ。」


「ではクロー、ここは一体どこだ?」


「今度は俺が質問する番だ。さっきから俺の体の自由を奪っているのは、お前の仕業か?これに答えたら、ここがどこか教えてやる。」


それからしばらく静寂が続いたが、クローは背中に感じたこともない程冷たい視線を浴びている気がした。


「簡単に言えば、私がお前の感情をいじった・・・・・・・。」









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