第9話 暗闇の奇襲
月宮小隊長のミスから始まったこの動物探し訓練。
きわめて順調に進んで聞いていた動物の半分は捕まえることが出来た。
休憩として木の上で仮眠をとっていた俺だった。
五分ほどの仮眠を終えてまた動き出し数時間、動物が全て捕まったことを聞いて訓練がひと段落したと思い月宮小隊長を探して俺は森を動き回った。
月が西に沈んでそれに代わって東から太陽が出てこようとしていた。
月宮小隊長を見つけて動物のことを聞くと
「本当にごめんなさい。私のミスを手伝ってもらって」
頭を下げて謝ってきた。
俺は
「特に何もなかったですし、いい訓練になったからいいですよ」
と、答えた。
「そう言ってくれてありがとう。じゃあ動物探しが思った以上に早く終わったから夕方まで休んできていいよ」
と、休みをくれた。
月宮小隊長はこれから小隊の人から説教があるようなので憂鬱そうな姿で帰って行った。
俺はとりあえず夜中走りまわって疲れたので部屋に帰って休むことにした。
部屋に帰り、体を水で洗ってベットに横たわるとすぐに寝てしまった。
起きると昼過ぎだった。
「良く寝てたね」
と、声をかけてきたのは
「何でお前が俺の部屋にいるんだよ、美琴」
なぜか美琴が俺の部屋に入って来ていた。
「だって遊びに来たら扉の鍵が開きっぱなしだったから入ってみたら鬼人が寝てるんだもん」
勝手に入って偉そうにするなと言いたくなったが余計な体力を使いそなので喉で止めた。
「これはこのあと月宮小隊長の訓練の続きがあるから行くぞ」
美琴を無理やり部屋から追い出して訓練へ向かおうとすると
「暇だし私も一緒に訓練受けていいかな。月宮さんの訓練受けたことないんだよね」
と、言い美琴もついてきた。
自分の訓練が終わったあとによくやるなと思いながら月宮小隊長の元へと向かった。
「来たね。なんで美琴ちゃんも一緒なの」
まあ予想どうりの反応をした。
「なんか勝手についてきました」
「あ、ひどい。せっかく一緒に訓練受けてあげるって言ってるのに」
「勝手についてきただけじゃん」
「まあとりあえず訓練を受けたいならいいぞ」
許しをもらったので美琴も俺と同じ訓練を受けることになった。
「今からするのは夜の森の中での武器を持った状態で素早く静かに動く練習をする。持ってきている自分の武器を帯刀したままで探す役と逃げる役の二つに別れて行う。最初は私が探す役をするから二人は逃げていいぞ」
そういうことで訓練が始まり俺と美琴は森の中へと入っていった。
月宮小隊長が動き始めるまで五分、俺は葉が生い茂る木の上に上り気配を消して隠れた。
森はシンとして何も気配がしない。
美琴も実力者だということがよく分かるものだった。
その時だった。
ギリギリで体が反応して飛んできたものを避けた。
飛んできたのは小刀だった。
その刃の部分になにか液体が塗られていた。
「毒か」
その小刀にある殺気からその液体がなにかわかった。
考える前に俺は動き出した。
美琴と月宮小隊長と合流するために二人を探した。
「鬼人、大丈夫」
美琴が上から現れた。
「ああ、大丈夫だ。それよりも今どういう状況だ」
「わからない。けど明らかに殺しに来ているのは確かみたい」
状況を整理しながら月宮小隊長と別れた場所に向かった。
向かう途中、気配で森の外の状況を掴んだ。
「月宮さん、何かと戦ってるね。この気配多分妖怪かな」
美琴も気配を感じ取ってわかったみたいだ。
とにかく走って月宮小隊長のところを目指した。
森を抜けようとした時、横から刀が振り下ろされた。
間一髪、俺は持っていた刀を抜いて受けた。
美琴が相手に刀を打ち込むが相手は後ろに飛んでよけた。
「大丈夫、鬼人」
美琴が相手を警戒しながら言ってきた。
「大丈夫だ」
俺は答えながら態勢を立て直し敵を見た。
相手は人に近い姿をした妖怪だった。
「美琴、先に戻ってこのことを伝えてこい」
俺がそう言うと
「その方がよさそうだね」
そう言って美琴が動き出そうとしたとき
「ドーーン」
と、基地の方から大きな爆発音がした。
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