閑話 美琴の不思議な体験
私は天原美琴。現在八歳。今日は最近よく夢を見る。
その夢には一つの川とその中で白い大きな生物が出てきていた。
でもそれ以上は詳しいことは思い出せない。
だからそれがわかるかもしれないと川に来た。
川に到着した。
そこにはなんの変哲もないただただ流れる川があるだけだった。
「やっぱりただの夢だったのかな」
なにもない川を見て少しがっかりする私だった。
しばらく川を眺めて帰ろうとし思い、靴下を脱いで足を川に浸した。
冷たく流れる水がとても心地よかった。
私は体を後ろに倒して空を見上げた。
そして私はいつの間にか寝ていた。
強い日差しで寝ていた私は起こされた。
結局何もなかったので帰ろうと思い、水に浸かった足を上げて立とうとした。
その瞬間、私はフラっとして体が川に落ちた。
運動能力が高い私だったが二メートルを超える水深と流れる水のせいでうまく泳ぐことができない。
焦り、バタバタと手足を動かしてなんとか泳ごうとしたが少しずつ体が沈んでいった。
意識がなくなりかける中、
(もうだめかな。もっと色々したいことあったな。好きな人作って色んなことをしたかったな)
そう思いながら光が遠のいていった。
意識がなくなる直前、何かが足に触れた気がした。
そこで意識がなくなった。
私はそこで不思議な体験をした。
白い光に包まれていた。暖かく、優しい光だ。
光の奥になにかいることがわかったが光が眩しすぎて姿を認識することができなかった。
そこにいた何かが喋りかけてきた。
「まさか今の時代にこれだけの巫女の素質を持った人間が生まれているとは。たまには現し世に出て見るものだな。少女よ、我の力を欲するか」
そう聞かれたが急すぎて状況が飲み込めていない私は
「あなたは一体誰ですか」
と、聞いた。
「今の時代の人間は我のことを知らぬのか。我はその昔、ヒトと妖怪に力を与えた原初の龍だ。我は世の乱れが起こる時、その時代のヒトの中で最も神に近しい存在にある巫女に力を与え乱れを鎮める役割を持つ」
と、美琴はそこまで言われてもよくわからなかった。
「あなたは私に何かしてくれるの」
そう聞くと龍は
「主が力を欲するのなら我は力を貸す。望まぬのならこの話はなしとなるだけだ」
そう言われ美琴は
「なら私はあなたの力が欲しい。大きくなってから妖怪と戦うために」
そう答えると龍は
「ならば我はこの時代、主に力をやろう。存分に使うといい。ああそれとここでの記憶は主はまた我と会うまで忘れているぞ」
そう言って龍の姿は見えなくなり、私の意識も消えていった。
目が覚めるとそこは川の近くの木の下だった。
「あれ、私ここで何してたんだっけ」
と、辺りを見回したが特に何もなく川がいつものように流れているだけだった。
「ああそうだ夢が何なのか見に来たんだ。結局何もなかったな」
美琴はそう言って立ち上がり帰っていった。
その後ろには白く光る光が浮いていた。
その光は美琴の後ろ姿を見ながら
「巫女がいなくなり数百年、ヒトと妖怪の乱世は終わらなかった。しかしあなたにはその力が与えられました。この乱世をあなたとあの血を継ぐ少年が終わらせることを願っています。そして願わくば・・・」
そこまで言ってその光は最後まで言葉を出さなかった。
世を知るこの光のとって過酷な運命と報われぬ思いを持つあの少女にこの言葉を残すことは酷なのだと思った。
それでもこの時代で報われぬとしても幸せを願ってしまわずにはいられなかった。
それほどにあの少女は過酷な道を歩むのだった。
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