第4話 自分の特技

 部隊での生活が始まり一か月の時が過ぎた。

 訓練を受け日を増すごとに俺は強くなっていることが実感できた。

 一か月経つ頃には訓練が終わってもその場で寝ることがなくなっていた。

そして隊長の下にて

「一か月の訓練期間を終えてお前をこの第一部隊に入れることを正式に決定する」

そう言って一枚の紙を渡された。

 そこには俺の名前と第一部隊への正式な入隊が書かれていた。

 これで俺も第一部隊の一員となりこの戦争の戦力となった。

 俺の入隊式が終わった後俺は一人隊長室に残されていた。

 全員が部屋から出て行った後体調が一本の刀を出してきた。

「この刀はお前の村から出てきたものだ。そしてこれを使えるのはお前だけだ。だがこの刀は普通の刀とは違い妖力が込められていて今のお前に使える代物ではない。ゆえにこれを使えるようにするために最低限小隊長クラスの力をお前につけてもらう。一週間後よりお前は小隊長たちと戦い、現場に出て実践を積んでもらう」

今の話に俺は少し驚いていた。

 まず村にそんなものがあったことを俺は知らなかった。

 次に訓練生から上がったばかりの俺が小隊長と戦い、そして妖怪と直接戦うことになるということ。

 そしてなにより小隊長クラスが最低限だということ。

「できるな」

隊長は一言聞いていた。おれの答えはひとつだ。

「もちろんです。必ず使えるようにしてみせます」

気合の入った返事をした。

 そして俺は隊長室を後にした。

 刀は俺が使えるようになるまでは隊長の下で管理してもらうそうだ。

 一日でも早く刀を使うため俺は今一度気合を入れなおした。

一週間後、小隊長が交代で俺を訓練することになっていて今日は第一部隊の中で特に人気がある小隊長が訓練をしてくれるそうだ。

「ごめんね、おまたせ」

そう言ってきたのは第八小隊隊長、神楽凛(かぐらりん)小隊長だ。

 この人の評判は明るくしっかりとした指導ができる人、戦う時の姿はまるで舞うような姿だと聞いていた。

 最初は評判の通りだったが訓練が始まった途端その姿は舞うというより暗殺に近い姿だった。

 攻撃しようとすればずらされ、スキが出来れだ死角に入られ攻撃を食らう。

 これが第一部隊の小隊長。

 第八部隊小隊長でこれなら他の小隊長や副隊長と隊長は一体どれだけ強いのか。

 一時間もしないうちに数十本は取られていた。

 訓練の休憩時間に神楽小隊長が話しかけてきた。

「隊長から武器のことは聞いてる。あれを使うためにはまず小隊長全員に勝てないとね。そのためにまずは自分の特技を見つけて伸ばすことから始めよう」

「特技ですか。ぱっとは出てこないですね」

「みんな最初はそういうもんだよ。けど今後必ず必要になるし小隊長に勝つには必須だよ」

「どうやって見つけるんですか」

「まずは色々はことをこなしていくことかな。そうやって私は今の技術にたどり着いたからね」

「神楽小隊長はどんな特技をもってるんですか」

「私は体のしなやかさと軽さ、部隊一の瞬発力を活かして戦う。力を得意とする人には強く出れる。でも私より力があって私の速さについてこれる人には負ける。そこで私が持つ特技のずらす技術を使う。これで弱点も補える」

「それだけの特技、持ってる人少ない気がしますけど」

「そうでもないよ。君はさっきの戦いで私の動きにある程度ついてこれていた。たぶん珍しい力と瞬発力を合わせて使える人だと思う。それを活かせば自分だけの面白い特技が見つかると思うよ」

 話し終えて自分の特技を考える時間をもらった。

「結論は出たかな」

「まだよくわからないですね」

俺の答えに神楽小隊長は笑って

「みんなそんなものだから心配しなくていい。私も見つけるまでに数か月はかかっているから」

そう言ってまた訓練を始めた。

 俺は段々と小隊長の動きがわかって来て少しずつついていけるようになってきた。

 しかしそこは小隊長、経験で差を更に広げてきた。

 今日の訓練が終わると

「君の特技の候補がいくつか見えたから明日からはそれらを意識した訓練をしようか。自分でも特技について考えてくること」

そう言って小隊長は帰っていった。

 自分の得意な事、意外と難しい問題だなと思いながら俺も部屋に帰っていった。



神楽小隊長の訓練での心の中・・・

 力があるのに瞬発力もある、成長したら完全に私の上位互換じゃない。

 しかももう私の動きについてきているじゃない。

 副隊長もトンデモのないもの拾って来たわね。

訓練が終わって帰る中

「わあああああ、まさか途中からしっかし動きついてこられるなんて。本気じゃないとは言え特技の隠し技いくつか使わされた。私も特技見直そうかしら」

 一人ぶつぶつといいながら新人の強さに危機を覚える小隊長だった。

 

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