第3話 始まる訓練
住んでいた村を離れ第一部隊が拠点にしている都市での生活が始まった。
訓練が始まるまでの約二週間の間で新しい生活に慣れて自主トレ―二ングで体を鍛えていた。
それと同時に拠点の把握と都市の把握を行っていた。
都市の中は戦争中であるにも関わらず多くの人でにぎわっていた。
都市をトレーニングがてら走っていると美琴の姿が見えた。
「あれ美琴何してんの」
近くまで言って話しかけると
「訓練が終わって暇だから食べ歩きしてた。鬼人はトレーニングでもしてるの」
「ああ部隊の訓練についていくために少しでも鍛えておかないといけないからな」
話していた途中で俺はふと気になった
「あれ美琴って部隊の訓練終わりなんだよね」
「うん一時間くらい前に終わってシャワー浴びて来てるね」
「じゃあ美琴はあの訓練で倒れてないの」
「まあ小さい頃からずっとやってるからね」
つまり美琴はあの訓練を倒れずに終わるだけの体力があるということ。
俺は驚きのあまり絶句してしまった。
話し終えて俺はトレーニングに戻り都市をぐるっと一周して帰った。
二週間がたち俺も部隊の訓練に参加し始めた。
初めの一日目、近くの九百メートルほどある山をダッシュで登りそこの頂上で筋トレや体術、武器のトレーニングを行い、それが終わると山を下った。
それが終わると最後に
「今日は山を五往復して終わったものから訓練を終了とする」
と、言われた。
案の定俺は一番最後に終わった。
俺の前の人ですら俺の一時間は早く終わっている。
俺は疲れきた体を動かして部屋に帰ろうとした。
「おお、すごいね。初めての訓練でその場に倒れず部屋に戻ろうとするとは」
別の場所で訓練を終えた美琴が俺の所へ来た。
「この部隊の訓練は他の部隊とは全く別物だからね。初めて受けた人はだいたい終わったらその場で倒れるんだけどね」
そう言われても俺には答える余裕はなく
「そうなのか」
と、一言だけ返してその場を立ち去った。
そして俺は部屋に帰るとそのまま布団に転がって寝た。
隊長室にて
「あの少年は最初の訓練を倒れずに終えたのか」
「そのようだね。一週間もしたら主力の訓練に入れてもいいんじゃないか」
「そうだな、この武器を使うにはそれだけの力が必要だからな。これは一か月後少年がここに残っていたらこれをあいつに渡すとしよう」
「そうだな」
隊長と副隊長が二人話すその真ん中には黒い刀が置かれていた。
普通の村にはないような妖怪の力を持った刀が。
一週間がたち訓練にも慣れて他の人たちについていけるようになった。
訓練が終わり部屋に戻ろうとしたとき、四神さんから呼び止められた。
「鬼人君、明日から訓練生とじゃなくて部隊の人たちと一緒に訓練してくれ。その訓練に耐えれるようになればはれて第一部隊の一員になれるから頑張ってくれ」
「はい、ありがとうございます」
俺は告げられたことに喜びを隠しきれていなかったが一つ気が付いていないことがあった。
それはあの訓練が訓練生用の訓練であったことだ。
つまりはあの訓練よりもさらにきつい訓練になるということだ。
しかしこの時、そのことに俺はきずいていなかった。
次の日から俺は部隊の人たちの訓練に入ったがその訓練は今まで受けていた訓練とは全くの別物だった。
受けた訓練は前の五倍のきキツさがあった。
しかし周りの隊員たちは平然と行っていた。
「分かった。これが第一部隊で生きていくということ。最強の部隊と呼ばれるのにはそれ相応の理由があるの」
一緒に訓練を受けていた美琴が休憩中に話しかけてきた。その時の美琴は集中しているのかいつものふんわりした空気ではなく固く鋭い雰囲気をしていた。
「俺は第一部隊で生きていくって決めたんだ。副隊長も言ってくれたんだ。それにこたえるためにもここで折れることはないよ」
それを聞いて少し微笑んだ美琴は
「そう、なら頑張りなさい」
そう言っていたらまた訓練が再開した。
訓練が終わりそこには訓練を受けていた三分の二程の眠る人たちが転がっていた。
もちろん俺もその中にいた。
数時間して目が覚めると周りは真っ暗になっていて転がっていた人たちはもういなくなっていた。
あの中だと俺が一番下だということがよくわかった。
「さて、明日以降も頑張るとするか」
そう一人言いながら自室に帰った。
俺の帰る姿を遠くから見ている影があった。
「今だにあの一族の血が途絶えていなかったとは。嬉しい誤算だな。それにもう一人の娘、あれも古の才を持っている。これはこの戦の終わりも近そうだな」
そう言ってその影は闇の中へと消えていった。
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