第2話 妖怪と戦う最強の部隊
数時間後、村の人たちの遺体を埋葬し自分の気持ちに整理をした。
俺は軍の人たちと村を離れ軍が拠点を置いている都市へと向かった。
その道中
「そういえばまだ自己紹介とかしてなかったよね」
そういえば色々忙しくそのことを忘れていた。
「そうだな。じゃあ俺から。俺は霊陰鬼人。年は十六だ。よろしく」
「私は天原美琴。年はあなたと同じ十六。よろしくね」
お互いの自己紹介をして俺は美琴から今の妖怪と人間の戦争の現状を教えてもらった。
「今、妖怪と人間の戦争はお互い一進一退の状態で決め手に欠けている状態なの。けど人間側には歴代最強の部隊が整いつつあるの。それが今から行く場所がその部隊が拠点にしている都市に向かう。そこであなたも訓練を受けてその部隊の一人として戦ってもらう予定よ」
「この隊はその部隊の一つなのか」
「そう、この部隊はその一小隊。十人規模の小隊十個、合計百人からつくられているのが最強の部隊『鬼神』よ。そしてそれを率いているのが私の父である天原凍夜よ」
美琴が語る部隊『鬼神』は俺も噂程度で聞いたことがある。
通常なら妖怪百人に対して同数の百で戦い互角と言ったところだがこの部隊は妖怪百に対して一小隊で完勝している。
それほどにこの部隊は強く妖怪との戦争の最大戦力になりつつあった。
「でも逆に妖怪側も戦力が強まりつつあるの」
そう話す美琴の顔が一気に険しくなった。
「その妖怪は現在の妖怪の長の子供でこっちも歴代最強と言われている。その実力は本物でたった一人で五十人の部隊を壊滅させたの。そしてその実力からかその妖怪に付き従う妖怪が徐々に増えているの」
美琴の言葉を聞いて俺は一つの疑問が出た。
「その妖怪と美琴の父親はどっちが強いんだ」
その言葉でさっきまで険しかった美琴の顔が明るくなった。
「それはね二年くらい前に戦ってて父さんが数時間の末に勝ったんだよ。その時その妖怪を殺しきれなかったみたいだけど」
この「殺しきれなかった」という言葉に俺は一末の不安を覚えていた。
そんな話をしていると目的の都市が見えてきた。
都市につくとそのまま軍の拠点へと向かった。
拠点に入ると多くの人がトレーニングを行っているのが見えた。
「ようこそ、ここが第一部隊が前線拠点にしている場所よ。そしてあなたが暮らす場所よ」
拠点について馬を降りて拠点の中心にいる隊長の下へと向かった。その時美琴とは別れた。
案内してくれた一人の隊員がドアをノックして
「失礼します」
そう一言言って扉を開けた。
中には黒髪の四十代程度の見える男が机でたくさんの書類に目を通していた。
その男がこちらに目を向けると身がすくむほどに威圧感のある鋭い目つきをしていた。これが最強の部隊の隊長とわかるほどに。
「昨日妖怪に襲われた村の生き残りを連れてきました」
隊員がそう言うと
「なぜ俺の所に連れて来た。隊員になりたいのならば下で勝手にすればいいだろう」
天原隊長は冷たくそう一言言った。
「僕の自己判断で連れてきました。彼には第一部隊で戦える実力が秘めていると感じました」
その言葉を聞いて天原隊長が
「ほう、お前がそう感じるとは」
天原隊長はそう言い俺の方を見て一言
「なら一か月だ。一か月で第一部隊として戦えるまでになれ。それができなければ他の部隊の所に行ってもらう」
天原隊長の言葉に俺は
「ありがとうございます」
と、言うと天原隊長は
「後はお前に任せる」
と、言い書類に目を戻した。
部屋を出て廊下を歩いている途中
「うちの隊長は見た目すごい怖いだろ。実際厳しいけどまぁ慣れればもう少し柔らかくなるかな」
そう話してくれた隊員に俺は
「天原隊長はあなたの言葉で俺をここに置くことを決めてましたけどあなたは一体どういう立場の隊員なんですか」
と、聞いた。
「僕はこの部隊の副隊長を務めている四神混(しかみこん)だ。よろしく。君の名前も聞いておこうか」
「俺の名前は霊陰鬼人です」
「鬼人くんか。これから一か月うちの隊員たちで君をたたき上げてあげるから家具後しててね」
その言葉には外側の柔らかい雰囲気とは裏腹に強い闘志のようなものが込められているように感じた。
その後、四神さんに連れられ拠点の中を見て回った。
「ここがこれから君の部屋となる場所だ。ここは入り組んでる場所もあるから迷わないように気を付けてね」
と、言い残し四神さんは立ち去った。
暇ができたので俺はこの部隊を見て回ることにした。
まず広場でトレーニングをしている人たちを見に行った。
近くまで行くと
「手を止めるな。動き続けろ」
と、大きな声が聞こえてきた。
そこ行くと全員が息を切らして汗が滝のように出ていた。
訓練の指示をしている人が
「今日の訓練はこれで終わる。この後は各自自由にしろ」
と、言うとその場ののとんどが死ぬように倒れた。
その場でほとんどが寝ていた。
それを見ただけでどれほどの訓練かがよくわかった。
「この訓練の一部を見ただけでも第一部隊の訓練の厳しさがよくわかるでしょ。でもこれが第一部隊の強さの理由だよ。まぁその場で寝なくなれば第一部隊として一人前かな」
そう言いながら後ろから美琴が来た。
「ここで戦いたいなら頑張ってね」
そこで俺は第一部隊で生きることの覚悟を決めた。
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